【北欧神話21】戦場の乙女ワルキューレと死者の館ヴァルハラの物語

フリスト ミスト

そなたらは我に盃を運べ

スケッギョルド スコグル
ヒルド スルーズ
フロック ヘルフィヨトゥル
ゴッル ゲイラホズ
ランドグリーズ ラーズグリーズ
レギンレイヴ

そなたらは戦死者たちに麦酒を運べ

『グリームニルの歌』

戦場に漂う戦死者の魂。

天界へと連れ立つは
美しき乙女たち、ワルキューレ

最高神の館に招かれ
極上の蜜酒を酌み交わし

猛き戦士の魂は
死してなお戦い続ける。

こんばんは。えむちゃんです。

今宵は、戦場の乙女ワルキューレと
死者の館ヴァルハラの物語
をお話ししましょう。

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戦いの乙女ワルキューレ

最高神オーディンの遣わす
戦場を駆ける乙女たち。

彼女らこそ その名の高い
“戦死者を選ぶ者” ワルキューレ

命尽きるまで 己が使命を全うした
気高き戦士の亡骸から
その魂を抱き上げ
馬を蹴立てて 戦地を後にする。

戦死者の魂エインヘリャル

ワルキューレに連れられて
魂が向かうは “喜びの世界“。

地上から天界へと架かる
虹の橋ビフレストの上
馬はしきりに踏み鳴らす。

通常ならば死後の魂は
川に架かる黄金の橋を渡り
地下世界ニヴルヘイム
すなわち冥界へと辿り着く。

病気や寿命 無抵抗に殺された者は
刑罰のないヘルヘイム

生前悪さをした者はさらに深く
ニヴルヘルへと送られる。

暗く冷たい氷の世界で
半身腐った死の女神ヘルが待ち受ける。

しかし名誉ある死を遂げた
誇り高き魂たちは天高く上昇し
選ばれし戦士エインヘリャルとして集うのだ。

宮殿ヴァルハラ

彼らは目の前の
信じ難い光景に息を呑む。

連れられた先は死者の館
オーディンの持つ宮殿ヴァルハラ

黄金の楯の屋根に
無数の槍でできた壁。

光り輝く大広間に
鎧で飾られた腰掛。

そびえ立つ540もの大きな扉は
それぞれ一つの扉から
戦士800人が肩を並べて出入りできるほど。

呆気に取られているのも束の間
先ほどまで鎧を着ていた
ワルキューレたちは
いつの間にやら純白の衣に
身を包んでいるのである。

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大宴会

館に招いた大事な客に
ただの水など飲ませない。

オーディンは広い広間に
毎日決まって宴を開く。

山羊ヘイズルーンの乳で作った蜜酒に
無限に蘇る猪セーフリームニルの肉料理。

ワルキューレたちはしきりに運び
勇敢なる魂たちはたらふく食らう。

そうして彼らは活力を得て
朝から晩まで殺し合い
戦士の腕に磨きをかける。

どんなに傷を負った体も
戦いの中死んだ者も
ワルキューレの癒しの力で
夕暮れ時には元通り

そうして角笛の音を合図に
また宴会に戻っては
心ゆくまで酒をあおる。

全ては最後の戦争のため。

運命の女神に予言された
来る世界の終末の日。

必ず迎えるラグナロク
その日のために。

今夜のお話はいかがでしたか?

おやすみ前の神話シリーズでは、
世界中の神話をお話しします。

今日も一日、お疲れさまでした。

それでは、良い夢を。

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