【北欧神話11】この世で最も美しい神!豊穣神フレイの物語

黄金の猪に座す
豊穣神フレイ ここにあり

人々は口々に云う

彼の猪こそ 主がために
鳶の色の大地を耕し

初めて緑になしたのだと

『地上楽園(The Earthy Paradise)』ウィリアム・モリス

黄金に輝く太陽の光。
夏のある日の温い雨。

ユングヴィ・フレイ・イン・フロージ、
実り豊かなユングヴィの主。

それが、彼の名。

大いに信仰された神フレイは
世界に平和をもたらし
人々に豊穣の術を与えた。

こんばんは。えむちゃんです。

今宵は、最も美しい神、豊穣神にして妖精王である、フレイの物語をお話ししましょう。

スポンサーリンク

人質となった麗しの神フレイ

アース神族とヴァン神族による
長い長い 戦いの結末。

両者は互いに人質を送り合い
和解を試みた。

ヴァン神族が差し出した
優れし神ニョルズに連れられて
その子供らも 故郷を離れ
敵軍の世界アースガルズへと旅立つ。

兄フレイと 妹フレイヤ。
二人はまだ 乳飲児であった。

この愛らしい子供らを
アースガルズの神々は喜んで迎え入れた。

妖精の世界の王

幼いフレイの その小さな口の中に
ようやく歯が生え始めた時
神々は祝福し
九つある世界のうちの一つを
フレイに与えた。

光の妖精リョースアールヴァルの住む世界
アールヴヘイム

フレイは幼くして
妖精国の支配者となった。

明るく無邪気なフレイは
妖精たちをたいそう気に入り
仲良く遊びまわった。

妖精たちは 可愛いフレイのためなら
何でもしてやった。

農耕の伝授

やがて成長したフレイは
数多の神々の中でも
最も美しいと称されるほど
眉目秀麗な神となった。

彼の相棒は
黄金の毛を持つ猪 グリンブルスティ

美しいその体に颯爽と跨ると
フレイは広い天空を
縦横無尽に駆け抜けた。

繋いだ黄金の荷台に
あふれんばかりの花や果物を詰め込むと
それを両手に掴んでは
大地に撒いて回った。

あるときフレイは
人間の世界ミズガルズの上空から
まだ何もない大地を見て こう言った。

「グリンブルスティ。
人間というのは農耕を知らぬようだ。

どうだろう。
彼らに手本を見せてやってはくれぬか」

この言葉に グリンブルスティは
たちまち空から大地に降り立ち
その立派に尖った牙をもって土を耕した。

こうして 人間ははじめて
農耕の術を教え授かった。

スポンサーリンク

フロージの平和

フレイはまた
子孫繁栄を司る神でもあった。

ゆえに 多産である猪や豚、馬などは
聖獣として大切にした。

豊穣と富、愛と平和、そして子孫繁栄。

フレイがある世界のある国の王として
統治をした長い年月の間
世の中は平和そのものであった。

こうして麗しの神フレイは
人々に愛され
末長く崇められたのだった。

さて、人々から そして神々から
厚い信仰を受けるフレイにも
敵わない相手というのは
いるものである。

美しき光の乙女 ゲルズ

フレイは一瞬にして目を奪われ
心酔した。

愛を象徴する神が 己が恋を目前に
情けなく右往左往する物語は
また別のお話。

今夜のお話はいかがでしたか?

おやすみ前の神話シリーズでは、
世界中の神話をお話しします。

今日も一日、お疲れさまでした。

それでは、良い夢を。

この記事をSNSでシェア!
スポンサーリンク

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

error: Content is protected !!