宇宙の終焉はどのように訪れるのか?眠れなくなる3つのシナリオ
ビッグバンによって誕生したとされる
この広い宇宙。
宇宙に始まりがあるのならば、
終わりもあるのだろう。
そう考えた世界の天才たちは、
理論と観測によって、
宇宙の終焉はどのように訪れるのかを予測しました。
こんにちは。えむちゃんです。
今回は、宇宙の終わりはどのように訪れるのか? 宇宙終焉の3つのシナリオをご紹介します。
宇宙終焉の3つのシナリオ
ビッグクランチ(Big Crunch)
宇宙の終焉には何が起こるのか?
考えられる一つ目のシナリオは、
この巨大な宇宙にある全ての物質が一点に収縮し、消滅してしまう
“ビッグクランチ(Big Crunch)”です。
そもそも「宇宙には終焉がある」という考え方が出てきたのは、20世紀初頭でした。
時は遡り、1915年。
かの天才物理学者アインシュタインが、
一般相対性理論を発表した頃は
「宇宙は永久に不変であり、膨張などしていない」
という考え方が一般的でした。
ところが、1929年、アメリカの天文学者エドウィン・ハッブルが、遠くにある銀河ほど高速で遠ざかっていることを発見し、宇宙が膨張していることを観測によって証明しました。
この発見により、それまでの天文学の常識が覆り、宇宙が変化していることがわかったのです。
「宇宙が膨張している」とは、どういうことか?
それはすなわち、
ある時を境に膨張が始まったということ、
つまり、宇宙には始まりがあるということです。
そして、長年の研究の末、ビッグバンによって宇宙が始まったとするビッグバン理論が生まれました。
ビッグバン以降、宇宙が膨張をしている。
しかし、膨張が続いているならば、
やがて、ある時点を境に膨張が止まり、
重力によって収縮に転じ、最後は一点に潰れてしまう。
一点に収縮した後は、
ビッグバン以前の宇宙に戻り、
その後、永遠に膨張と収縮と繰り返す。
これが宇宙終焉のシナリオの一つと考えられる、“ビッグクランチ理論”です。
次に、研究者たちは、
宇宙が膨張しているスピードが分かれば、
「いつ宇宙の膨張が止まるのか?」を予測することができるのではないかと考えました。
そして、宇宙の膨張する速度を調べたところ、驚きの事実が判明します。
なんと、宇宙の膨張速度は減速しているどころか、加速し続けていることがわかったのです。
膨張速度が加速している理由は、はっきりとはわかっていません。
しかし、宇宙にはビッグバン以降、
宇宙を外へ広げようとしている何らかのエネルギーがあることが考えられました。
そして、研究者たちは、この目に見えない謎のエネルギーを“ダークエネルギー”と名付けました。
現在、ダークエネルギーは、
宇宙に存在する成分の68.3%を占めていると言われています。
そして、ダークエネルギーと同様、
宇宙の終焉のシナリオに密接に関わってくるのが、宇宙に存在する成分の26.8%を占める“ダークマター”だと言われています。
ダークマターについては、
別の記事で詳しくご紹介していますが、
宇宙の骨組みや支柱として作用する役割を担っています。
→ 『宇宙の最大の謎!暗黒物質ダークマターの正体!(前編)』
簡単に言えば、
宇宙の膨張を加速させ、
外側へ広げる“ダークエネルギー”に対し、
“ダークマター”は、
自らの質量によって重力を発生させ、
他の天体に影響を及ぼします。
つまり、引き寄せようとするダークマターの力が、膨張しようとするダークエネルギーの力に勝った時、宇宙で起きている膨張が収縮に転じ、ビッグクランチが起きるのです。
しかし、ダークエネルギーの力が
ダークマターの力よりも強力だった場合、
全く別の終焉のシナリオが待っています。
<ビッグリップ(Big Rip)>
そのシナリオこそ、“ビッグリップ”。
ダークエネルギーが
宇宙にある全ての物質を
素粒子レベルにまでバラバラにし、
宇宙が終わりに向かうというシナリオです。
現在、宇宙はダークエネルギーの力により
加速度的に膨張しています。
その膨張速度が限界を突破してしまい、
宇宙を支えている基本構造が
バラバラになってしまうのです。
もし、ビッグリップが起こった場合、
最初は銀河同士が遠ざかり、
やがて銀河系にある星同士の結びつきもなくなり、孤立していきます。
そして、宇宙の終焉の直前には、
物質が素粒子レベルにまでバラバラになります。
素粒子とは、
物質を構成する最小の単位のことです。
素粒子レベルにまでバラバラになる
つまり、素粒子同士の結びつきがなくなるとは、
すなわち、そこに存在していた物質が消えて無くなってしまうことを意味します。
その時、地球からこの光景を見ると
どうでしょう。
何もない真っ暗な影が、
遥か宇宙の彼方から地球へと迫ってきます。
その影に触れた銀河や恒星は消滅し、
やがて地球も飲み込まれ、
全てが消滅してしまう。
最後に残った広い宇宙には
バラバラになった素粒子が漂い、
終焉を迎える。
あまりに寂しい最後ですね・・・
ただし、2018年に行われた観測の結果、
ビッグリップが起きるとしても、
少なくとも1400億年は先のことだと分析されています。
<ビッグフリーズ(Big Freeze)>
ダークエネルギーが宇宙を終焉へと導くことは分かっています。
しかし、どのようなシナリオを描くかは
まだはっきりとはわかっていません。
ダークマターの力が
ダークエネルギーの力に勝れば、
“ビッグクランチ”となり、
ダークエネルギーの力が
ダークマターの力に勝れば
“ビッグリップ”となります。
それでは、ダークエネルギーの力が不変であり、
宇宙が永遠に膨張し続けるとすれば
どうなるのでしょうか?
その場合、最後には宇宙の温度が低下し、死滅する、“ビッグフリーズ”が起きる
と考えられています。
宇宙に存在するエネルギーが有限であり、
永遠に膨張を続けると
やがて、全ての銀河は孤立します。
そして、星は長い年月をかけて燃え尽き、
宇宙の温度が低下。
また、宇宙空間の密度も極限まで低下し、
最後には新しい反応が何も起きなくなります。
終焉を迎えた宇宙に広がるのは、
暗く冷たい空虚な空間。
ひどく寂しい最期です。
現在、有力なシナリオは?
宇宙を終焉に導く3つのシナリオ。
現時点では、
ビッグリップ、もしくはビッグフリーズによって、宇宙が終わりを迎えるというのが有力です。
これまでに観測されたデータや研究では、
宇宙の膨張はこれからも加速を続ける可能性が高く、再び収縮に転じる可能性は低いと考えられています。
宇宙が終焉を迎えるのは
気の遠くなるような先のこと。
私たち人類が宇宙の終わりを
実際に見ることはないでしょう。
しかし、技術が発展することで
理論によって、宇宙の最期を
より鮮明に知ることはできるでしょう。
天才・アインシュタインの生きた時代、
宇宙が加速的に膨張しているなど
誰が想像できたでしょう。
現代に生きる私たちは
かつての天才たちが
誰も見ることができなかった宇宙の姿を
見ることができています。
そして、宇宙の謎は
これからも解き明かされていくことでしょう。
私たちが生きている間に
もっと多くの謎が解けることを祈るばかりですね。
人類の想像を遥かに超える宇宙。
そして、その宇宙の26.8%を占める
暗黒物質ダークマターの存在。
私たちの想像を遥かに超える、奇妙な性質を持った未知の物質の正体については、こちらの記事でご紹介していますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
→ 『宇宙の最大の謎!暗黒物質ダークマターの正体!(前編)』