【北欧神話13】最高神オーディンが欲した!知恵の泉とルーン文字の秘密の物語

私に何を尋ねようというのか
なにゆえ私を試そうというのか

最高神オーディンよ
私は全て知っている

あなたのその眼が
一体どこに置かれているのか

それは かの名高き知恵の泉
ミーミルの泉の中

『巫女の予言』

天地を創造し、人間や妖精を作り上げた
「全てのものの父」。

最高神オーディン。
彼が何より欲したのは、この世の真理でした。

巫女に予言された
世界の終焉と神々の運命にあらがうべく、
オーディンは貪欲に知恵を求める。

こんばんは。えむちゃんです。

今宵は、北欧神話の最高神オーディンの欲した知恵の泉とルーン文字の秘密の物語をお話ししましょう。

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最高神オーディン

背は高く、目は片目で、年老いている。
ちぢれた髪に、灰色の長い髭をたくわえている。

肩には2羽の渡鴉、
足元には2匹の狼を従えている。

手にはグングニルの槍を持ち、
腕にはドラウプニルの腕輪をつけている。
これらは神聖な神器である。

これが、北欧神話の最高神オーディンの姿です。

人間の前に仮初の姿を現す時
帽子をまぶかに被るのは、
片目であることを隠すためといわれています。

では、なぜオーディンは片目がないのでしょう?

それは彼がこの世の真理を追うあまりに
受けた代償、いえ、喜んで得た勲章なのでした。

知恵と魔術の会得、グングニル誕生

かつてオーディンは
巨人の世界ヨーツンヘイムにある
ミーミルの泉を訪れました。

その泉には
世界樹ユグドラシルの3本の根のうち
一本がのびており、
泉の水にはあらゆる知恵と機才が含まれ
飲めばそれらを得ることができると言われていました。

大きな知識を求めて
オーディンが泉のそばへ歩み寄ると、
泉の番をしていた賢い巨人
ミーミルが怒って言いました。

「こんな不思議な力を持つ泉の水を
そう簡単に飲ませてやることなどできないぞ。」

オーディンは答えます。

「ほんの一口でいいから、飲ませてはくれぬか。
そうしたらなんでも望むものをやる。」

「では、お前の目を一つもらおうか。」

するとオーディンは怯むどころか
喜んで片目を抉り取り、
ミーミルに差し出したのです。

ミーミルは黙って目を受け取ると
泉の中へと投げ入れ、
「この目を担保としてやろう。」と言いました。

すぐさまオーディンは泉のほとりに座ると
泉の水をがぶがぶと飲み始めます。

こうして大きな代償と引き換えに、
大きな知恵を得たのでした。

ルーン文字の由来

大いなる知恵を得たオーディンは考えました。

「そうだ。こうして知恵を得たのだから、
魔術というものが使いたい。

それには魔力を持った、なにか神秘な文字が必要だ。

とはいえ、今度もただでは得られぬだろう。

知恵を得たときの代償を考えれば、
また何か大きな犠牲を払わねば。」

するとオーディンは、なにやら
世界樹ユグドラシルに紐をくくりつけはじめました。

そして、自分の体を結ぶと、
自ら逆さまにぶら下がったのです。

さらには何も食べず、何も飲まず、
グングニルの槍で自分の体を貫きながら
9夜もの間、吊るされていました。

そうしてとうとう、
“ルーン文字”という魔力を帯びたものを
泣き叫びながら掴み取ると、
紐は千切れて、オーディンは地面へと落ちていきました。

苦しみながら得たルーン文字は
あらゆる魔術を実現させ、
喜んだオーディンはいろいろな場所に
ルーン文字を刻んでまわりました。

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2羽の鴉

さて、こうしてオーディンは
己の身を削ってようやく
世界中の知恵と秘密の魔力を
手に入れたのでしたが、
それでも彼の知識欲は底をつきません。

夜明けになると、オーディンは決まって
肩にとまった2羽の渡鴉、
フギンムニンを外へ放ちます。

フギンの名の その意味は、思考。
ムニンの名の その意味は、記憶。

2羽は世界中を飛びまわり、
夕暮れ時に返ってくると
その日、見聞きした全てのことを
オーディンの肩で囁きます。

おかげで、オーディンは
新しい情報を常に更新し
世界中のありとあらゆることを
隅々まで把握したのでした。

一体、何が彼をここまで突き動かすのか?

それは他でもない、
自らが創造したこの世界と
神々の運命を変えるためです。

これが、彼が最高神たる所以。

神々の頂点に君臨する男の姿。

今夜のお話はいかがでしたか?

おやすみ前の神話シリーズでは、
世界中の神話をお話しします。

今日も一日、お疲れさまでした。
それでは、良い夢を。

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