【北欧神話19】神への復讐劇!巨人の娘スカジの敵討ちの物語

静寂の明るい天空に投じるは
アルファルディの子の眼

その眼こそ印とならん

わが成す偉業の中にも秀でる
最もめざましき偉業を
さやかに示す星の印と

『ハールバルズの歌』

青春の女神イズンと不老不死の林檎を
奪いさらった罪で
神々に殺された巨人スィアチ

その娘スカジ
父の死を嘆き悲しみ、
神々への復讐に向かう。

殺気立つ巨人の娘を
あの手この手でなだめる神々。

騒動は一転、
おかしな婿選びへと発展する。

こんばんは。えむちゃんです。

今宵は、神々への復讐劇
巨人の娘スカジの敵討ちの物語
をお話ししましょう。

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親失くしの巨人スカジ

“その娘、神々の麗しい花嫁”。

一体誰がこんな未来を予想したでしょうか。

これは世にもおかしな、
巨人の娘の復讐と結婚のお話。

――巨人スィアチが殺された。

その訃報に
彼女がどれほど心を痛めたことでしょう。

神々の手によって最愛の父を亡くした
巨人の娘・スカジは
かつてない深い悲しみに絶望しました。

きっとこの手で父の仇を取ってやる。

そう固く胸に誓うと、
白銀の甲冑を身に纏い、
槍や弓矢やありたけの武器を携えて、
スカジは一人、館をあとにしました。

スカジの敵討ち

向かうは神々の世界、アースガルズ。

ちょうど宴会を楽しんでいた神々を
険しく睨みつけながら、
スカジは声高に言いました。

「私はスカジというものだ。

父スィアチの仇を討ちに来た。

その命をもって償ってほしい。」

神々は驚きました。

大きな雪靴に、深い毛皮。

手にいくつもの武器を握り、
怒りを内に抑えながらも
堂々と敵討ちを宣言したその乙女が、
あまりに凛々しく、美しかったのです。

彼女に負い目を感じた神々は、
どうにか和解に持ち込もうと
あらゆる提案をしました。

ロキの曲芸とスィアチの星

神々の山ほどの宝を与えようとも
首を横に振り、揺るがないスカジ。

彼女は父の死を命で償うことを求め、
さらに和解するならば、
それは自分が笑う時だと言いました。

和解など望んでいないスカジは、
神々にできそうもないことを
あえて条件の一つとしたのです。

事件の当事者であった悪戯好きの神ロキは
自分の命が危ういと、なんとか彼女の
気を落ち着かせて笑わせようとしました。

そうして1匹の山羊を連れてくると、
そのひげに、目には見えない紐を結び、
もう一方には自分のふぐりを括りつけて、
面白おかしくおどけてみせました。

引っ張り合いながら、互いに声を上げ、
山羊の動きにあちこち振り回されるロキ。

神々はどっと笑いましたが、
唯一スカジは一生懸命、笑うのを堪えました。

そんなところへ、ロキが自分の膝の上に
勢いよくなだれこんできたので、
スカジは思わずにこりと笑ってしまったのでした。

こうして和解がなされたところで、
最高神オーディンは空を見上げながら
言いました。

「天に輝く二つの星。
あれはそなたの父、スィアチの眼だ。

スィアチは黄金の林檎を奪う
という罪を犯したが、
我々もまた彼の命を奪った。

そこで彼に敬意と弔いの意を表し、
星空に投じることとした。

これを償いとしてはもらえぬだろうか。」

スカジは父を想いながら、
静かに了承しました。

そしてオーディンは続けて、
命で償えない代わりに
この場にいる神々の中から
気に入ったものを夫に選んではどうか?
と提案したのでした。

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スカジの婿選び

早速スカジは目隠しを渡され、
オーディンが言いました。

「そなたの前に立ち並ぶ者たちの
足だけを見て、
気に入った一人を夫としよう」

言われるままに目隠しをされ、
婿選びが始まるも、実はスカジには
密かに目星が付いていました。

光り輝く美貌に、純白のまつげ。

賢く優しい、麗しの光の神バルドル

ぜひとも彼を夫にしたいスカジは、
いちばん白くて美しい足を選びました。

ところが、目隠しを取ってみると
それはバルドルではなく、
海の神ニョルズでした。

スカジは渋々、彼を夫に迎え入れ、
こうしてこの一件は事なきを得たのでした。

ひょんなことから夫婦となった
スカジとニョルズ。

その後の二人に
どんな運命が待ち受けているのか?

それはまた、別のお話。

今夜のお話はいかがでしたか?

おやすみ前の神話シリーズでは、
世界中の神話をお話しします。

今日も一日、お疲れさまでした。

それでは、良い夢を。

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