あなたが毎日、何気なく使っている日本語。

実は、世界から見れば、

日本語とは非常に異質な言語であり、

そのルーツは、未だ謎に包まれている

ということをご存知ですか？

日本語は、大きく3つの異なる言語が

組み合わさっています。

かつて中国から入ってきた”漢語”。

西洋の言葉を表す”カタカナ”。

そして、これらよりも遥か昔から

日本に存在する”和語”。

漢語とカタカナが加わったことにより、

日本語の表現は大きく広がってきました。

古来よりあった和語の起源は、

未だに分かっていません。

言語学という分野が

日々研究され、発展してゆく中で、

大半の言語はその起源が判明しており、

仲間ごとに分類されています。

しかし日本語は、数少ない

未だ正体不明の言語なのです。

一体、どこから来た言葉なのでしょう。

こんにちは、えむちゃんです。

今回は、謎に包まれた日本語の起源についてご紹介します。

ルーツがわかっていない孤立の言語 “日本語”　

世界には7000以上もの言語がありますが、

私たちが使っている日本語は

独自の発展を遂げてきたため、

他の言語との共通点が非常に少ない言語です。

アメリカの国務省が発表した

「外国語習得難易度ランキング」では

最も難易度の高い言語の一つとして

分類されています。

共通の祖先を持つ言語同士の特徴を比較する

比較言語学的手法を用いても、

日本語の系統関係は、はっきりとはわかっていません。

日本語の起源の謎

日本語を構成する３つの言語のうち、

漢語とカタカナについては

どの時期に、どういった経路で入ってきたか

歴史的に判明しています。

しかし、和語については、

どのように形成されたのか不明です。

時は遡り、弥生時代。

かつての日本に住んでいた私たちの祖先は、

日本語の始まりとされている言語を使いはじめます。

狩猟生活を経て、農耕を始め、

集団で定住するようになった頃でした。

そこでは、何らかの会話がされていたはずですが、

日本には長く文字というものが存在しなかったため、

当時の言葉は、形として残っていません。

そのため、起源を分析する術がないのです。

古来より、日本語の起源については

様々な研究や議論が重ねられてきました。

例えば江戸時代には、

国学者の新井白石（あらいはくせき）や

本居宜永（もとおりのりなが）らによって

そのルーツが研究されていたという記録があります。

そしてつづく現代においても、

様々な可能性が探されている最中です。

それでは次に、和語の起源について

これまでにあげられている

いくつかの仮説をご紹介します。

日本語の起源と考えられる仮説

中国語起源説

巷でよく言われるのは、中国語起源説です。

地理的にも近く、

古くより中国からの言葉を取り入れてきたため

中国語が起源と考えるのは普通じゃないかと思う方も

多いかもしれません。

実際、文字に関しても

漢字の成り立ちに大きな影響を与えています。

しかし、中国語が初めて

日本に渡ってきたのは１世紀頃。

それは、和語がある程度出来上がった

その後のことになります。

また、中国語は文法的にも異なる点が非常に多く、

言語学上、日本語との系統関係はないとされています。

アルタイ語族説

起源の謎を解明するには、

まず日本語がどの語族に属しているかを

特定する必要があります。

語族とは、同一の祖語から

発達してきたと認められる

諸言語のグループを指します。

・文法が似ていること

・発音が似ていること

・日常的な言葉が似ていること

この三点が語族を判断する基準となっています。

そしてこれらの特徴を踏まえて

日本語と似ている言語を探したところ、

ユーラシア大陸に分布する、アルタイ語族が注目されました。

アルタイ語族には、

中央アジアの言語を含むテュルク語族、モンゴル語族、

シベリア東部や満州などで話されるツングース語族が含まれています。

そして日本語も、このグループに属するのではないかという説です。

たとえば、このアルタイ語族に属しているトルコ語。

日本語と似ていると聞いたことはありませんか？

一見両者はかけ離れているように思えますが、

実は文法だけでなく、発音と意味が非常に類似した単語も

数多く存在しているのです。

さて、日本語がアルタイ語族に属するという

仮説が建てられた理由は母音調和にあります。

母音調和とは、一つの語形の中に現れる母音の配列に

一定の共存の法則が認められる現象のことです。

古代の日本語、すなわち大和言葉には、

アルタイ語と同様、一種の母音調和が見られます。

加えて、もう一つの共通する特徴は

”r”で始まる言葉が極めて少ないという点。

驚かれるかもしれませんが、元来、日本には

ラ行で始まる言葉はありませんでした。

現在の日本語にある「リンゴ」や「ロウソク」「ラクダ」などは

奈良時代以降に中国などの諸外国から入ってきたもので、

もともとの和語にはない言葉です。

しかしこの説は、あげられた類似点のみでは

日本語とアルタイ語族との関連を示す十分な証拠にまでは届かず、

その可能性は低い、もしくは日本語の一部にのみ関連するというのが

言語学における定説です。

ドラヴィダ語族・タミル語

次に注目されたのが、かのインダス文明を築いたと言われる

ドラヴィダ人が使用する言語の語族、ドラヴィダ語族です。

主に南インドやスリランカ、加えてパキスタン、

アフガニスタン、バングラディッシュなどで話される

約26の言語が属しています。

日本語と似ている点は、

膠着語（こうちゃくご）にあります。

膠着語とは、別名「粘着語」とも呼ばれ、

その名の通り、単語にくっついて文章をつなげ、

意味を持たせる役割をしています。

たとえば、「私はリンゴを買う」という文章。

膠着語は、「て・に・を・は」にあたる「は」と「を」です。

これをたった1文字変えると、意味が変わります。

「私にリンゴを買う」

こうすると、別の誰かが「私」にリンゴを

買い与えるという意味になります。

あるいはこれらを正しく配置しなければ、

文章自体が意味不明なものになってしまいます。

また、膠着語の特徴の一つとして

連続していくつも並べることができる点があげられます。

たとえば、「譲る」という単語であれば

「譲り・そう」「譲り・たい」「譲・られ・た・らしい」

といったように、後ろに加えていくことで

意味を膨らませることができます。

そしてこのような文法構造が、

ドラヴィダ語族と対応関係にあると

言語学者によって主張されたのです。

なかでも、ドラヴィダ語族のうち

インド南部で話されているタミル語という言語が

特に文法などの点において共通とのこと。

その主張通り、似通っている部分は多くありました。

しかし、それは生活や社会、自然、祭事に関する単語のみに限り、

その他植物や魚の名前などではほとんどが類似せず、

残念ながら、この学説は多くの批判を受けることとなります。

オーストロネシア語族

オーストロネシア語族とは、

台湾からニュージーランドなどの太平洋の島々、

東南アジアからインド、そしてマダガスカルに至るまで

地球上広く散らばる言語です。

ハワイ語やインドネシア語などがこの語族に所属しています。

日本において、はじめて言語を話し出したとされる弥生人。

彼らが使用していた言葉は

オーストロネシア語族の言語であったとする説があります。

日本語とオーストロネシア語族の

大量の言葉同士を比較し

統計的な手法を用いた結果、類似関係が見られるとされたのです。

特に、稲作関連の言葉に共通性があると主張されています。

ただし、この学説も他と同様、立証には至っていません。

多くの研究者たちが、オーストロネシア語族説を信じて

多角的な方面から様々なアプローチをかけ立証を試みても、

日本語という言語を解き明かすには、

その謎はあまりにも深く大きく、

全貌を見るまでには誰も辿り着けないのです。

他にも、古代ヘブライ語やアイヌ語を起源とする説、

複数言語が合わさってできたという説など

様々な仮説が立てられていますが、

どれも十分な根拠はなく

はっきりとしたことは何もわかっていません。

私たちが普段使っている日本語が

実は正体不明の言語だった・・・

というのは、なんだか不思議な気持ちになりますね。

日本語の起源を含め、古代日本には

未だ解き明かされていない謎が

数多く存在します。

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