【星座神話1】牡羊座。金羊毛の“アリエス”の物語

こんばんは。
癒しのプラネタリウムへようこそ。

お客様は、あなた一人。

広い夜空を貸し切って、
遠い宇宙に想いを馳せて

目眩く不思議な星の世界を
どうぞごゆっくりお楽しみください。

秋の夜空に輝く牡羊座

羊はその背に翼を負い
その体に黄金の毛を纏う。

眠らぬ竜の守りのもと
その毛皮は天に伝わる秘宝とならん。

こんばんは。えむちゃんです。

今宵は、黄道十二星座の一つ、
金羊毛の“アリエス”の物語
をお話ししましょう。

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太古の歴史

遥か昔、紀元前3000年頃。

古代文明の栄えるメソポタミア・
バビロニアの地で、
その星ははじめて名前を得ました。

農夫座。

のちに牡羊座となる星座の、元の姿です。

古代の人々は、秋の季節になると
畑に麦を捲く農夫たちを雇いました。

そんな彼らの姿を、
秋の空に見る星々に投影し、
季節の星座として親しんでいたのです。

しかし、その後、農夫座の男の姿は
次第に羊として見られるようになっていきました。

一説には、男と羊、いずれの言葉も
発音が同じ「ル」(lu)であったためとされています。

やがて星座は
バビロニアから古代ギリシアへと伝来し、
神話とともに現代まで語り継がれることとなるのです。

そんな牡羊座の、神話に伝わる物語。

神話の始まり

昔々、
古代ギリシャのボイオーティアという地に
王様と女王様がいました。

王の名はアタマス

女王の名は女神ネペレ

やがて二人の間には
可愛らしい男の子と女の子の兄妹が生まれました。

それぞれをプリクソスへレと名付け、
子供たちは大切に育てられました。

時が経ち、二人の父・アタマスは
妻ネペレに見下されているとして
次第に冷たく当たるようになりました。

そうしてついには彼女を女王の座から退け、
新たに南方の地の王女イノを妃に迎えてしまうのです。

捨てられた女神ネペレは、怒りより先に
子供たちの身を案じました。

「プリクソス。ヘレ。
どうか二人に危険が及びませんように。」

しかし彼女の切実な祈りも甲斐なく、
新しい継母イノは無垢な子供たちを
自分の子ではないと憎み、

そうして、罪なき若い二人を殺してしまおうと
恐ろしい悪巧みを企てるのです。

イノの策略

イノはまず、畑の作物をこっそり火で炙り、
育たないように細工をしました。

すると国は飢饉に見舞われ、
原因も分からず、困り果てたアタマス王は
神の御神託を賜ろうと神殿へ使者を遣わしました。

しかし、金を積まれた使者はイノに買収され、
彼女に言われるがまま、王に嘘の神託を報告します。

「最高神ゼウスに生贄を捧げよ。
捧ぐべきは、王の息子、プリクソス。」

これを信じたアタマス王は
プリクソスを生贄に差し出そうと
山の頂へと連れ出しました。

そうして今にも殺しかけた、その瞬間。

最高神ゼウスの遣いが、
プリクソスを救い出したのです。

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黄金の羊アリエス

ゼウスは哀れな子供たちのために
空飛ぶ黄金の羊を授けました。

プリクソスは早速それに跨ると
残された妹ヘレを迎えに行き、
国を出て、遠く遠くへと逃げました。

途中、ヘレは羊の背中から滑り落ち、
海の底へと沈んでしまいます。

悲しみの中、
やっと辿り着いた先はコルキスの国。

国王アイエテス
逃亡者のプリクソスをあたたかく受け入れ、
自分の娘を妻に差し出しました。

プリクソスは神に賜わった黄金の羊の肉を
生贄に捧げてゼウスに返礼し、

そして、美しく輝く黄金の羊毛は
義理の父となったアイエテス王に贈りました。

空を駆けた神の遣い。

黄金の羊の毛皮、“金羊毛”をアイエテス王は
神聖なる森の樫の木に打ち付けると、

決して失われることのないよう
眠らぬドラゴンに見張らせ、
秘宝として大切に守らせたのでした。

後にこの牡羊の秘宝を巡っての
壮絶な冒険譚も語られているのですが、
これはまた別のお話。

そして、悪巧みをした継母イノと
あわや息子を殺しかけたアタマス王。

二人の悲惨な末路についても、
またいつかお話ししましょう。

今夜のお話はいかがでしたか?

おやすみ前の神話シリーズでは、
世界中の神話をお話しします。

併せて、えむちゃんの朗読ちゃんねるも
ぜひ訪れてみてくださいね!

今日も一日、お疲れさまでした。

それでは、良い夢を。

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