幸福と富の妖!吉兆をもたらす大妖怪6選!
その妖、来る吉兆の知らせ。
この世ならざる妖怪どもは
時に人に災いをもたらし、
また時に幸いをもたらす。
これよりお目にかけるは、善なる妖。
偶然か必然か、彼らに鉢合わせた者は
神の如き霊力により
守られ、導かれる。
こんにちは。えむちゃんです。
今回は、幸福と富を運ぶ!
人々を助ける吉兆の妖怪6選をご紹介します。
アマビエ
魚のような鱗、鳥のような長いクチバシ。
三本の足を生やした妖怪、アマビエ。
天変地異や災いを予言し
疫病を防ぐ力を持つとされ、
近年でも話題となりました。
アマビエの出現は、
江戸時代後期、1846年のこと。
肥後国、現在の熊本県の海上で目撃されたとされています。
何やら毎晩、海に光るものが現れるので
不思議に思った役人が見に行くと、
海からアマビエが現れたといいます。
驚いた役人に、アマビエはこう告げました。
「この先6年、各地で豊作の年となろう。
しかし同時に、疫病の流行を予言する。
私の姿を描き写せ。
そしてその絵を早々に、人々に見せよ。」
こうしてアマビエの姿絵は江戸に送られ、
その年の瓦版で広く出版されたのでした。
アマビエについての伝承は、
この瓦版のほかには
どの地域にも確認されていません。
一説には、同様に海から現れ
豊作と流行り病を予言したとされる
猿の声で人を呼ぶ妖怪“アマビコ(海彦)”の記録から転じて
アマビエが誕生したのではないかと推察されています。
座敷童子
屋敷や蔵に住み着いては
悪戯をする妖怪、座敷童子。
その姿を見た者には幸運が訪れ、
家族や仕事に恵まれ、家が栄える一方で、
座敷童子の去った後は、家は衰退すると言われています。
岩手県を中心に、東北地方には、古くから
座敷童子に関する数々の伝承が残っており、
人々は家の守り神として大切にしてきました。
座敷童子の居付くとされる奥座敷に
彼らの好物であるお赤飯を供え、
一部では子供の喜びそうな
お菓子やおもちゃを並べた部屋を作る風習もありました。
年齢や姿は住み着く家によって異なりますが、
主に5~6歳程度のおかっぱ頭の子供の姿で描かれることが多く、
男の子ならば黒の着物、
女の子ならば赤の着物を着ていると言われます。
また一説には、
白い座敷童子は良いことが起こる前兆、
赤い座敷童子は災いの前触れともされています。
座敷童子は時に細長い手で人を招き
これから起こる天変地異を事前に知らせたり、
子供たちと遊んだりしますが、
殆どの大人にはその姿を見ることができません。
夜中に聞こえる御神楽。
床に広がる子供の足跡。
隣の部屋からかさかさ、がさがさ。
鼻を鳴らす音までして、
覗きに行くと、誰もいない。
あなたのそんな不思議な体験の裏には、
座敷童子の影があるのかも・・・
迷い家
訪れた者に富をもたらす幻の家、迷い家。
東北地方にはこのような伝承があります。
その昔、ある一人の女が山菜を採ろうと
小川に沿って山へと入って行きました。
そして夢中で山菜を探すうち、
谷の奥深くまで入り込んでしまいます。
ふと顔を上げると、目の前には唐突に
立派な黒い門のお屋敷が建っていました。
不思議に思った女は、
門の中へと入って行きました。
するとそこには、赤や白の綺麗な花が
一面に咲き誇る大きな庭があり、
鶏や牛、馬なんかもたくさんおりました。
しかし、これだけ手入れがなされているのに
なぜか人の気配がありません。
庭を進み、玄関から屋敷に上がってみると
中には大変高価な食器がたくさん並んでいました。
さらに奥には、火がついたままの火鉢に、
お湯の沸いたばかりの鉄瓶もありました。
それでも、どこにも人がいないので
女は怖くなって、急いで自分の家へと逃げ帰りました。
そして、この不気味なお屋敷のことを
皆に話してまわりましたが、
誰一人信じる者はいませんでした。
時が経ちある日、
女が川で洗い物をしていると、
上流から赤いお椀が流れてきました。
あまりの美しさに、
思わず女はそのお椀を拾い上げ、
しかし、食器とするには
汚いかもしれないと思い、
穀物を量る器として使うことにしました。
不思議なことに、それ以来、女の家の穀物は
いつまで経っても減ることがなく、
家は豊かになり続け、そうして気づけば
村一番のお金持ちになっていました。
この噂を聞きつけた欲深い者たちが
自分も大金持ちになろうと
こぞって迷い家を探しますが、
黒い門の立派な家などどこにもなく、
偶然たどり着いたとしても、そこには
金目の食器も何も見当たらなかったといいます。
幸運の赤いお椀は
自ずと女のもとへとやってきました。
人のいない屋敷から
家畜も、高価な食器の一つも
何も盗まず帰ってくる欲のない人間を
迷い家は見極め選んだのです。
河童
顔に嘴、背に甲羅。
濡れた皿を頭に備える妖怪、河童。
川や沼に住み、体は生臭く、
その体は緑色や赤色、
頭の皿が割れたり水が乾いたりすると
衰弱して死ぬこともあるとされます。
河童にまつわる伝承は
日本全国で数多く残され、
善悪両面の姿で語られています。
時に悪戯好きな妖怪として
田畑を荒らして回ったり、
相撲が好きで子供達を誘っては
まるで病人のようになるほど
疲れ果てさせるまで、延々相撲を取り続けたりします。
ただし、川を泳いでいるところに捕まれば大変です。
足を掴まれ、引き摺り込まれて
尻子玉を抜かれてしまいます。
尻子玉を抜かれると人は腑抜けになり、
河童はそれを食べたり、税金として
水の神・竜王に収めたりするのです。
一方で、人々を助けたり恩返しをしたりという
善良な妖怪としての言い伝えも多く残されています。
農村には水の恵みを与え、
穀物の実りを約束し、人の仕事を手伝ったり
返って人に助けられればそのお礼にと
秘伝の血止め薬の製法を伝授したり・・・
律儀で情に厚い性格のようです。
さらに河童は地域によっては
山の神の使い、水の精霊、或いは水の神として
大切に信仰されています。
河童の相撲好きも、本来相撲という行事が
水神に奉納する儀式であったためです。
ちなみに、もしも河童に出くわして
相撲を持ちかけられたなら、
深々とお辞儀をしてみましょう。
義理堅い河童もつられてお辞儀をして
頭の皿から水をこぼしてしまいますから、
わざわざ戦わずに済むのです。
金霊(かねだま)
訪れた家に富をもたらす
金の精霊、金霊。
江戸時代、
浮世絵師の鳥山石燕によって描かれた
妖怪画集『今昔画図続百鬼』には、
このように記されています。
金霊は、金の気である。
地中に埋蔵された金銀は
夜になれば気が立ち昇り、
日々善行に努め、それでいて無欲な者には、
それを見分けることができる。
富貴在天(ふうきざいてん)。
富も地位も、天の定め。
善いことをすれば、
天より福が与えられることは、
至極当然のことである。
金霊の姿はさまざまに伝えられ、
石燕の描いたような
蔵に大判小判を溢れさせた様子のものや、
空を飛ぶ小判として描かれたものもあります。
いずれも共通するのは、
無欲な善人の元にのみ現れるということ。
欲に堕ちた人間のもとからは消え去るとされています。
獏(ばく)
人の悪夢を喰らう妖怪、獏。
古くは、中国から伝来した幻の生物とされ、
その毛皮を寝具に用いると
疫病や邪悪な気を退けるとされていました。
日本に伝わってからは
人々の夢に出てくる不吉なものを食べ、
不安や心配、邪気から守ってくれる妖怪として
広く信じられるようになります。
室町時代には、獏は縁起の良いものとされ、
枕の下に「獏」の文字が書かれた絵を敷く習慣もありました。
一部の地域では、
悪夢を見て目が覚めてしまった時に
「ゆうべの夢は獏に食わせる」
と3度唱えれば、悪夢から逃れることができる
とされる風習も残っています。
ちなみに、実在する哺乳類バクは、
伝説上の獏の姿と類似していることが由来で
名付けられたとされています。
古く日本に伝わる妖怪伝説。
少しの恐ろしさと、神聖さと、
どこか身近にも感じる不思議な存在です。
あなたが偶然出くわすのが
善なる妖ならば、万々歳。
しかし、凶悪な大妖怪には
くれぐれもご注意を。
悪戯に人を喰らい、死に至らしめ、
大きな災害を巻き起こす。
その絶大な力を前に、人々は恐怖で打ち震える。
日本史上“最凶”と謳われる
八体の大妖怪については、
こちらの記事で詳しくご紹介していますので
気になる方はぜひチェックしてみてくださいね!