【星座神話2】牡牛座。愛の“タウラス”の物語 / おやすみ前の神話シリーズ

冬の夜空に瞬く、おうし座。

白い毛並みを輝かせ
聖なる牛は颯爽と現れる。

花摘む乙女は牛の背に、
異国の地へと渡りゆく。

こんばんは。えむちゃんです。

今宵は、黄道十二星座の一つ、
愛のおうし座“タウラス“の物語をお話ししましょう。

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牡牛座の歴史

おうし座の歴史は古く、星座の発祥地、
古代メソポタミアの信仰に由来します。

メソポタミア南部に
シュメール人の都市がいくつも成立した、
紀元前4000年紀。

人々は牛を、富と繁栄の象徴として信じ、
グラガンナ」、すなわち“天の牡牛”として
信仰するようになりました。

ギルガメシュ叙事詩によると、

かつてイシュタルという名の女神が
伝説的な王ギルガメシュに求愛し、

拒まれたことに激怒して
凶暴な天の牡牛グラガンナを地上に放ったといいます。

グラガンナは鼻息だけで地に大きな穴を空け、
そこに100人、200人と男たちが落ちてゆきました。

困ったギルガメシュは、
親友エンキドゥとともにグラガンナを討伐し、
その心臓を太陽神に捧げたのでした。

“天の牡牛”グラガンナは、
星座のおうし座と同一視されています。

星座が古代ギリシアに伝来するよりも前、
紀元前500年頃のメソポタミアの粘土板には

すでに現在のおうし座の位置に
“天の牡牛”と記載があることが確認されています。

そんなおうし座の
ギリシャ神話に伝わる二つの物語。

最高神ゼウスと王女エウロペ

これはある暖かな春の日のお話です。

最高神ゼウスは天界から地上を眺めていると、
ふと野原に戯れる美しい乙女の姿が目に留まりました。

乙女の名は、エウロぺ

古代都市ティルスの王女でした。

楽しげに花を摘む姿に
すっかり心奪われたゼウスは、
一頭の白い牛になって、
彼女の側へ近づいてゆきました。

目を見張る程に美しい、真っ白の毛並み。

驚いたエウロペは、
そっとその背にまたがってみました。

すると、大人しかった牛は途端に駆け出し、
野山を越え、ついには海まで越えて

遠い異国の地、クレタ島まで
彼女を連れ去ってしまったのです。

嘆き悲しむエウロペを前に
牛はその正体を露わにし、

最高神ゼウスとして彼女への想いを打ち明け、
贈り物を与えました。

その後、ゼウスは再び牛の姿となって
星空へと昇ってゆき、星座となりました。

そしてエウロペの降り立った大陸は、
彼女の名から、やがて「ヨーロッパ」と呼ばれるようになったのでした。

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女神ヘラと巫女イオ

さて、おうし座にまつわる物語がもう一つ。

こちらにも最高神ゼウスが登場します。

ゼウスには正妻がいました。

女神ヘラ

天界を統べる神々の女王にして、
ゼウスの姉でもありました。

女神ヘラに仕える者の中に、
イオという名の美しい巫女がおりましたが、

あろうことか、ゼウスは彼女を愛してしまうのです。

密やかな二人の関係は
のちにヘラに勘付かれてしまいます。

イオに制裁が下されることを心配したゼウスは
慌てて彼女を白い牡牛の姿に変え、
素知らぬふりをしてみせました。

しかし、ヘラの目はごまかせません。

納得するように見せかけて
その白い牡牛を頂戴と、ゼウスに詰め寄りました。

ただの牛だとしている以上、
断ることはできません。

イオは回収され、
厳重な見張りの付いた牛舎に
閉じ込められてしまうのです。

見張り役は、
100の目を持つ巨人アルゴス

おびただしく光る目は、交代で眠るために、
常にどれかしらの目がイオを休みなく見張ります。

困ったゼウスは、
息子にして神々の伝令役である
オリュンポス十二神の一柱、ヘルメス
イオの救出を命じました。

彼女を救い出すためには、
巨人の番人アルゴスを退治しなくてはなりませんが、

ヘルメスにとって、
それは難しいことではありませんでした。

魔法の笛の音を聞かせてしまえば、
100もある全ての目を眠らせることができたからです。

そうして難なく巨人の首をはねてしまい、
イオを解放してやったのでした。

しかし、女神ヘラの怒りは、
まだまだ収まりません。

今度は虻(アブ)を放って
白い牡牛を狙わせます。

牛の姿をしたイオは必死に逃げ惑ううち、
海を渡り、遠くエジプトの地まで辿り着き、
そこでようやく人の姿に戻ることができたのでした。

この一連の騒動から、
ゼウスはイオのために牡牛の姿を星空に掲げ、

そして、イオは
哀れな巨人アルゴスの目を拾い集めて
クジャクの羽に与えてやりました。

以来、クジャクの羽には
100の目のような模様が入り、

そして、イオが逃げ込んだ海は
イオニア海と呼ばれるようになったのでした。

空に輝く牡牛座の物語。

お楽しみいただけましたか。

おやすみ前の神話シリーズでは、
世界中の神話をお話しします。

併せて、えむちゃんの朗読ちゃんねるも
ぜひ訪れてみてくださいね!

今日も一日、お疲れさまでした。
それでは、良い夢を。

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