冬の夜空に瞬く、ふたご座。

兄は馬術の名手。
弟は拳闘、剣術の手練。

哀しき運命を断ち切るは
途絶えることなき二人の絆。

こんばんは。えむちゃんです。
今宵は、黄道十二星座の一つ、
絆のふたご座“ジェミニ“の物語をお話ししましょう。

双子座の歴史

隣り合う、二つの大きな星。

銀星カストル、金星ポルックス。

これが双子座の兄弟星です。

英名を「ジャイアンツ・アイズ」、巨人の目。

並んで光る二つの星は広い空の中一際目立ち、
古くから世界中で対の星として親しまれてきました。

古代ギリシア、エジプト、インド、ドイツ、ポリネシア・・・

私たちの住む日本だけでも
何十通りもの呼び名が残る双子の星は、
無数の星が瞬いていたであろう
遥か昔の夜空にも
埋もれることなく煌々と輝いていたようです。

紀元前2000年頃より栄えた
古代バビロニアの時代には、
「大きな双子」という呼び名で
二人の戦士の姿が伝えられ、

世界を創造した最高神”マルドゥク”と
知恵の神”ナブー”の二柱として信じられるようになりました。

そしてのちの時代、
古代ギリシアに星座が伝来し、
肩を組んだ二人の英雄の姿が
夜空に投影されることとなるのです。

そんなふたご座の、
ギリシャ神話に伝わる物語。

双子座の神話　レダと白鳥

昔々、アイトリアという地に
大変美しい王女様がいました。

彼女の名はレダ。

やがてレダは都市国家スパルタの王
テュンダレオスと結婚し、
彼の宮殿で暮らすようになりました。

そんなある日のこと。

泉のほとりで水浴びをしているレダのもとに、
一羽の白鳥が飛んできました。

どうやら白鳥は、鷹に襲われ
ここまで逃げてきたようです。

かわいそうに思ったレダは
怯える白鳥を抱き寄せ、守ってやりました。

「もう大丈夫。
怖い鷹はどこかへ行ってしまいましたよ。」

すると白鳥は安心したのか
レダの腕の中で、可愛らしくすり寄ります。

愛おしく、優しく撫でてやり
しばらくじゃれあううち
白鳥は空へと飛んでゆきました。

レダの妊娠

ほどなくして、レダは子を身籠りました。

夫とともに誕生を待ちわび、
そして出産の時、事件は起きます。

生まれてきたのは、
なんと大きな二つの卵だったのです。

あの時の白鳥の正体は、最高神ゼウス。

あまりの美貌に
レダを愛してしまったゼウスは
愛の女神アフロディテに相談し、

鷹になって白鳥の自分を追いかけ回すように
協力させていたのです。

そうして思惑通り、
レダに近づいたというわけでした。

卵から生まれたのは4人の子供たち。

一つの卵からは二人の女の子が、
もう一方の卵からは、二人の男の子が誕生しました。

この兄弟こそ、
のちに猛き英雄となる双子座の星、
カストルとポルックスです。

カストルとポルックス

二人は確かに同じ一つの卵から
双子として生まれましたが、
人間と神、別々の血を引いていました。

兄カストルの父は人間の国王、
弟ポルックスの父は神ゼウス。

ゆえに、厳密には双子ではないのです。

しかしながら、そのようなことは関係なしに
二人はすくすくと育ち、やんちゃながら
いつでも共に協力し合う大変仲の良い兄弟となりました。

悪友の従兄弟とともに
盗んだり、戦ったり。

しかし時には、攫われた妹を助けるなど
正義感あふれる活躍を遂げることもありました。

いつか冒険に出た時には、
おひつじ座の伝説に伝わる
金羊毛を探しに行き、嵐の中
船に乗って海を渡ったこともありました。

武術に長ける二人は戦場でも勇名を轟かせ、

兄カストルは得意の馬術で、
弟ポルックスは拳闘と剣術で

数々の武功を挙げます。

二人一緒なら、なんだってできる。

双子は一度たりとも喧嘩することなく
互いを認め合う、素晴らしい関係でした。

しかし、悲劇は起こります。

双子を襲う悲劇

悪友たちとの仲違いから争いに発展。

激しい戦いの末、兄カストルは槍に突かれて
命を落としてしまうのです。

悲しみに打ちひしがれる弟ポルックスもまた
酷い攻撃を受けました。

ところが、ポルックスは死にませんでした。

いえ、死ねなかったのです。

ポルックスは父ゼウスの血を引いた神の子。

人間の兄とは違う、不死身の体でした。

はじめて、兄弟の血の違いが
二人の間を切り裂きます。

兄のもとに行きたい。

絶望の淵で、
ポルックスは一心に願いました。

私を死なせてくれ。

この声を聞いたゼウスは胸打たれ、
不死の呪いを解いてやりました。

そして、弟の命を死んだ兄に分け与え、
星座として夜空に上げて、

季節ごと、天と冥界を行き来しても
二人が離れ離れになることが
二度とないようにしてやったのでした。

空に輝くふたご座の物語。

お楽しみいただけましたか?

おやすみ前の神話シリーズでは、
世界中の神話をお話しします。

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ぜひ訪れてみてくださいね！

今日も一日、お疲れさまでした。

それでは、良い夢を。