死者をも甦らせる古の宝物!十種神宝!

一(ひと)、二(ふた)、三(み)、四(よ)、
五(いつ)、六(むゆ)、七(なな)、八(や)、
九(ここの)、十(たり)

布瑠部(ふるべ)
由良由良止(ゆらゆらと)
布瑠部 (ふるべ)

死人(まかりしひと)も生き返らん

饒速日命(にぎはやひのみこと)の授かりし、
十種神宝(とくさのかんだから)”。

その宝物は、古神道の最たる秘事。

言霊は蘇りの力をもたらす。

さあ振るえ、唱えよ。

こんにちは。えむちゃんです。

今回は、死者をも甦らせる古の宝物!十種神宝をご紹介します。

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十種神宝とは?

古く日本の歴史に息づく、古神道。

天地開闢から
第33代推古天皇までの歴史を記した史書
先代旧事本紀(せんだいくじほんき)』には、

口伝いに受け継がれた呪法とともに
秘事の宝物の名が記されていました。

天璽瑞宝十種(あまつしるし・みずたから・とくさ)、
通称・十種神宝(とくさのかんだから)。

神・饒速日命(にぎはやひのみこと)が
天孫降臨より先に天降りする際に
天神御祖(あまつかみみおや)から授かったと伝わる、十の宝物です。

2種の鏡、1種の剣、
4種の玉、3種の比礼。

「比礼(ひれ)」とは、古代の女性が
両肩からかけていた長い帯状の布のことで、
災いを払う呪力を持つ
貴重で神聖なものとされました。

そして、古来神聖な力を持つと信じられ
三種の神器とも深く関わりを持つ
鏡・剣・玉。

これらの成す十種神宝を手に持ち、
古の祓詞(はらえことば)を唱えると
死者も蘇るほどの強力な言霊を発揮するというのです。

神代の時より、時代を超えて
密やかに受け継がれた、極秘の秘術。

神話に伝わる物語は、このようなものです。

十種神宝の物語

天孫降臨。

それは、天照大神の孫にして
初代神武天皇の曽祖父にあたる
瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)という神が
天界・高天原から高千穂の地に降臨したという伝説。

しかし実は、それよりも先に
地上へ天降った神がいたのです。

瓊瓊杵尊の兄・饒速日命

神々が棲まう土地、
高天原で暮らしていた饒速日命は
ある時、地上に降臨し、
そこを統治するよう命を受けました。

そして、高天原と黄泉の国との間にある
葦原中国、すなわち、地上へと旅立つ時、

皇室の祖先神(皇神)たちは別れの品として
十の宝物を与え、こう言いました。

「これらの宝物を御倉棚に鎮め置け。

人民に疫病が降りかかれば、
この十種神宝を手に、ゆらゆらと振るいながら
こう唱えよ。

『一、二、三、四、
五、六、七、八、九、十』

さすれば、死者も蘇る。」

饒速日命が授かった十種神宝とは、
神の力を宿す十種の宝具でした。

一つは、遠くを映し出す、
沖津鏡瀛都鏡 / おきつかがみ)。

二つは、近くを映し出す、
辺津鏡邊都鏡 / へつかがみ) 。

三つは、内に湧く邪気を断つ、
八握剣(やつかのつるぎ) 。

四つは、手にするものを生き永らえさせる、
生玉(いくたま)。

五つは、姿形の満ちる、
足玉(たるたま)。

六つは、亡者を蘇らせる、
死返玉(まかるがえしのたま)。

七つは、過ちから戻し正す、
道返玉(ちがえしのたま) 。

八つは、這い寄る蛇の害を払う、
蛇比礼蛇比禮 / おろちのひれ)。

九つは、飛び交う虫の害を払う、
蜂比礼蜂比禮 / はちのひれ)。

十は、全ての邪気を払い清める、
品物之比礼品物比禮 / くさぐさのもののひれ)。

饒速日命は、十種神宝を携え
空飛ぶ天磐船(あめのいわふね)に乗り、

河内国、現在の大阪府にある
河上の哮峰(いかるがみね)に降臨したのでした。

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饒速日命のその後

さて、饒速日命が大和の地へ遷った後、
弟の瓊瓊杵尊が高千穂の地に降臨します。

やがて、そのひ孫とされる初代神武天皇
九州の地より遠征し、

現在の奈良県にあたる大和国を平定、
日本初の天皇の座に即位しました。

饒速日命の子にして
物部氏(もののべうじ)の初代である
宇摩志麻遅命(うましまじのみこと)は
神武天皇に忠節を尽くし、

神武天皇と皇后のために長寿を祈る
鎮魂祭(みたまふりのみまつり)を
十種神宝を用いて執り行いました。

『先代旧事本紀』によれば、
これが日本で初めて行われた
鎮魂祭であるとされています。

十種神宝には
布瑠御魂神(ふるのみたまのかみ)が宿ると信じられ、

人々に降りかかる災害や病などを祓い、
長寿と繁栄、幸福を招く存在として

祓詞「布瑠の言(ふるのこと)」とともに
布瑠部の神辞』として語り継がれました。

その後は大和国、山辺郡の布瑠の高庭、
石上神宮という場所に祀られ、

現在もなお伝統的な呪法に則り
鎮魂の儀式が執り行われています。

「布瑠部」の意味とは、伝説に伝わる通り、
「振るえ」という動作の意と考えられ、

十種神宝を手に、ゆらゆらと「振るわす」動きは
現代の儀式にもなお形を残しています。

たとえば、天皇によって豊穣が祈られる
特別重要な宮中祭祀・新嘗祭(にいなめさい)。

その前日に執り行われる鎮魂祭では、
儀式ののち、天皇の衣を左右に10ずつ振るという
「魂振の儀」が行われます。

これこそが、日本元年の時より伝わる
古神道の秘術。

宮中のほか、各地神社においても
鎮魂祭として、大切に受け継がれています。

古く日本に伝わる伝説の秘宝、
十種神宝の物語。
お楽しみいただけましたか。

ところで、冒頭にもお話しの通り
十種神宝は三種の神器にも縁のある
鏡と剣、玉が含まれます。

一説には、神器になぞらえ
鏡はすなわち八咫鏡、剣は草薙剣
玉は八尺瓊勾玉であるとも言われています。

古より歴代天皇が受け継ぐ宝物。

その姿を直に見ることは、
何人たりとも許されない。

草薙剣を含む、伝説の名剣7選については
こちらの記事でご紹介していますので
ぜひご覧ください。

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