わずか1gで地球を破壊する!?アマテラス粒子の謎

2021年5月27日。

アメリカ・ユタ州で行われた国際共同宇宙線観測実験
「テレスコープアレイ実験」で、
極めて強力な宇宙線が検出されました。

地球に飛来したのは、
計算上、たった1gで地球を破壊するほどの
エネルギーをもつという脅威的な粒子。

日本神話の最高位の神に因んだその名は、
アマテラス粒子”。

宇宙線は、現状の科学理論では説明できない
奇妙な謎を含んでいました。

こんにちは。えむちゃんです。

今回は、わずか1gで地球を破壊する!?
アマテラス粒子の謎
をご紹介します。

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アマテラス粒子とは?

アマテラス粒子の発見

2008年から始まった、テレスコープアレイ実験

宇宙線を検出するという目的のもと、
日本やアメリカ、ロシア、韓国、ベルギーなど、
8カ国による共同実験が開始されました。

宇宙線とは、
超高エネルギーで宇宙空間を飛び交う放射線のこと。

主には原子核や素粒子などのことを言い、
それらは地球にも降り注いで、
私たちの体をすり抜けています。

アメリカ・ユタ州の砂漠に507台もの検出装置を設置し、
実験を続けること13年。

2021年5月、23台の検出装置が
一斉に連続的な信号を発したのです。

アマテラス粒子の強さ

日本神話の神・天照大神に因み名付けられた
“アマテラス粒子”は、
観測史上2番目に高いエネルギーを持つ宇宙線でした。

その小さな粒子が持つ運動エネルギーは、
244エクサ電子ボルト(2.44×10の20乗/2.44垓電子ボルト)。

あまり聞き馴染みのない“エクサ (E)”という単位、
これは10の18乗を意味します。

すなわち244エクサとは、
2垓4400京(244,000,000,000,000,000,000)という
莫大な数字となります。

これがどれほどすごいのかと言うと、

粒子を光の速度にまで近づけることができる
地上最大の粒子加速器を用いて到達したエネルギーよりも、
100万倍以上も大きい
のです。

小さな小さなアマテラス粒子たった一粒で
40ワットの電球を約1秒間点灯でき、

計算上たった1gだけで、地球を破壊できるほどに
強力なエネルギーとされています。

地球にあたると、どうなるか?

そんな恐ろしいアマテラス粒子ですが、
ありがたいことに、地球を破滅させるほどの量が
まとまって降りかかるわけではありません。

というのも、ほとんどの場合
高エネルギーの宇宙線は、宇宙から地球の大気に入射する際
大気の原子核とぶつかって二次粒子を生成するのです。

二次粒子は相互作用を繰り返すうち、
まるでシャワーのようになって、
広範囲に渡って大量に、優しく地表に降り注ぎます。
空気シャワー

数kmに渡って設置した複数の検出機が
ほぼ同時に反応したのはこのためです。

とはいえ、ごくわずかには
時差や信号の強弱の差が発生します。

その微妙な違いを解析することで
捉えた宇宙線のエネルギーの大きさ

さらには、どの方向から地球に到来したのか
推定することができます。

加えて、高いエネルギーを持つ宇宙線は
磁場によって曲げられにくく、ほぼ直進するため、
到来した方向を探れば、その発生源まで
特定できる可能性があるのです。

アマテラス粒子の最大の謎

発生源の候補

アマテラス粒子が検出された時も同様に、
複数の検出器が観測した粒子のシャワーから
エネルギーの強さと到来してきた方向を推定しました。

太陽系の外より到来することが判明している宇宙線。

研究者たちは、あらゆることを予想しながら
発生源の解明に胸を膨らませます。

アマテラス粒子ほどに高いエネルギーを持つ
宇宙線ともなれば、

その元となった天体や
何かしらの激しいエネルギー現象があるはずだ。

宇宙最大の爆発現象である
ガンマ線バースト”が発生の原因ではないか?

銀河の中心にある超大質量ブラックホール
そこから噴き出すプラズマジェットによるものではないか?

それとも、巨大な惑星が爆発したのではないか?

最大の謎

ところが彼らは、ここで
最大の謎に直面します。

研究の結果、粒子が飛んできた方向には
アマテラス粒子のような極めて高いエネルギーを
発生させる天体はなく、

そればかりか、
銀河や星などの物質がほぼ存在しない巨大な空間、
ローカル・ボイドと呼ばれる方向から飛来したことが判明したのです。

虚空からやってきた超高エネルギー宇宙線の謎。

アマテラス粒子の発生源は、
従来の理論では説明がつきません。

研究者たちは、未知の天体現象である可能性や、
標準理論を超えた新しい物理起源の可能性を示唆しています。

観測史上最も高いエネルギーを持つ粒子

さて、アマテラス粒子と同様、
かつて多くの謎とともに地球へと飛来した
超高エネルギー宇宙線がありました。

観測史上、最も高いエネルギーを持つ
オーマイゴット粒子”。

1991年10月15日、アメリカ・ユタ大学の
フライズ・アイ(ハエの目)実験で検出された粒子です。

あまりに高いエネルギーを持っていたことから
「驚くべき粒子」、
“オーマイゴッド粒子(Oh-My-God particle)”と名付けられ、

そのエネルギーは、
なんと推定320エクサ電子ボルト

仮にこの粒子が陽子であると仮定した場合、
アマテラス粒子以上に、光の速さに近い速度に相当するのです。

アマテラス粒子 : 244エクサ電子ボルト
  光速の約0.9999999999999999999999926倍
オーマイゴッド粒子 : 320エクサ電子ボルト
  光速の約0.9999999999999999999999951倍


オーマイゴッド粒子と光の速さを持つ物質を
同時にスタートさせた場合、

22万年かけてようやく1cmの差が開くという
ごく僅かな違いしかありません。

オーマイゴッド粒子の持つエネルギーは
宇宙線として、現在の理論で説明可能な値を
明らかに超えており

アマテラス粒子と同様、銀河系内に
この粒子を生成できるエネルギーを持つ天体が存在せず

研究者たちは頭を悩ませているのです。

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今後の研究

謎多き、宇宙線の発生源。

現在、テレスコープアレイ実験では
より高度な検出ができるよう、
検出可能範囲を4倍に増やすための実験が行われています。

いつかこの謎が解き明かされる時、
宇宙の概念が大きく覆される発見があるかもしれません。

広大な宇宙から届いた、未知なる贈り物といえば
2017年に偶然発見された
観測史上初となる恒星間天体“オウムアムアもその一つでしょう。

太陽系の遥か外側から飛来した奇妙な天体には、
いくつもの不可解な点がありました。

宇宙を旅する奇妙な天体、
恒星間天体オウムアムアの正体については、
こちらの記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。

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