【星座神話】水瓶座。幸運の“アクエリアス”の物語 / おやすみ前の神話シリーズ

秋の夜空に瞬く、みずがめ座。

腕に抱かれた神秘の壺。

流れ出るのは不死の霊薬。

こんばんは。えむちゃんです。

今宵は、黄道十二星座の一つ、
幸運のみずがめ座“アクエリアス”の物語
をお話ししましょう。

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水瓶座の歴史

三ツ矢の形のアステリズム。

“Water Jar”、ここに水瓶の壺が位置します。

みずがめ座を構成する星々の名は、
特別な意味を持つものが多く揃っています。

サダルメリク、サダルスウド、サダクビア。

アラビア語で、
王の幸運」、「幸運の中の幸運」、「テントの幸運」。

暗い夜空で姿こそ見えにくくとも、
その名は輝かしく異彩を放っています。

みずがめ座の起源は古く、
最古の文明を築いたメソポタミアの時代に遡ります。

水の溢れる壺を手に持つ、巨人の男の姿。

その水は恵みの雨となり、大地の作物を育てる。

当時の星座の名を「グラ(Gula)」といい、
これは“偉大なるもの”を意味しました。

すなわち、みずがめ座とは
メソポタミア神話における大地の王、
水と知恵を司る神・エンキに関連していたと考えられます。

男の足元には、1匹の魚が
壺から流れ出る水を口で受け止めています。

現在はみずがめ座から独立し、
「みなみのうお座」として
星座同士が繋がるように位置します。

魚の口は、秋の夜空に一際輝く一等星、
フォーマルハウト

この恒星は、クトゥルフ神話においては、

かつて人類史以前に地球を支配していた
旧支配者”と呼ばれる
封印されし邪悪なる神々の一柱、
炎の神クトゥグアが住む場所と伝わります。

みずがめ座にまつわる神話は諸説あり、
そのモデルは、主にはガニュメデスという名の
少年であるとする説が広く知られています。

異説としては、堕落しきった人類を滅ぼすために
最高神ゼウスが大洪水を引き起こした際、
方舟によって生き残った唯一の男、
デウカリオンであるとするものや、

古代ギリシャの首都アテナイの初代王ケクロプス

あるいはチーズ作りや養蜂技術を教え授けたとされる神
アリスタイオスなども候補に上がり、
いずれの説も紀元前の時代に唱えられました。

さて、現在一般的に語られている
みずがめ座の少年、ガニュメテスの物語とは
このようなものです。

水瓶座の神話 神酒ネクタルと青春の女神ヘベ

飲めば不死の力を得る
神秘の酒、ネクタル

酒壺から注がれるその霊薬の力によって
神々は永遠の若さを保っています。

最高神ゼウスは、酒を注ぐ給仕役に
妻ヘラとの間に生まれた娘、
青春の女神ヘベを任命しました。

ヘベは穏やかな性格で、
あらゆる女神の中で最も美しく、

母ヘラは娘たちの中でも
ヘベを特別可愛がっていました。

そんなヘベは、のちに英雄ヘラクレスと結婚し、
不死の酒・ネクタルの給仕役から外れることとなります。

これには諸説あり、
神々の宴の席で、へべが酒を注いで回る際に
転んで失態を晒したことで
ゼウスが役から外したとする説や、

あるいは、ゼウスが気に入った
新たなる美しい給仕役を連れてきたためとも言われます。

麗しの女神ヘベに劣らぬ、
神々の喜びの酒を注ぐに相応しい、美しい者。

次なる給仕役は一体誰になるのか。

ゼウスが新たに任命したのは、
地上に住む一人の少年でした。

トロイアの王子ガニュメデスと大鷲

現在のトルコに位置する
古代都市トロイアの王子、ガニュメデス

初代トロイア王トロスを父に持ち、
その容姿は大変美しく、
ゼウスはすっかり心を奪われました。

そうして、一羽の鷲を遣わし、
あるいはゼウス自身が鷲となって
ガニュメデスを連れ去ってしまうのです。

鷲は地上のイデの山に降り立ち、
少年を攫って天高くオリュンポスの山へと飛び立ちます。

天界へと連れてこられたガニュメデスは
永遠の若さを与えられ、
不死の酒・ネクタルを神々に注いで回る
新たな給仕役となりました。

ゼウスの妻、ヘラが反対の声を上げるも、
もうガニュメデスを愛してしまったからには
ゼウスは聞き入れることなどありません。

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水瓶座とガニュメデス

地上に残されたガニュメデスの父、
トロイア王トロスは
大切な息子を奪われ嘆き悲しみ、

それを見たゼウスは駿足の神の馬を、
あるいは、炎と鍛治の神ヘパイストスが作ったという
黄金のぶどうの木を、トロスに与えて償いました。

そして、トロスが寂しい思いをしないよう
ガニュメデスをみずがめ座として夜空に掲げ、
地上から息子の姿を見られるようにしたのでした。

みずがめ座の背後には、
一等星アルタイルの白く輝くわし座が位置し、
翼を広げ、少年ガニュメデスに狙いを定めて
今にも飛びかかろうとしています。

空に輝くみずがめ座の物語。

お楽しみいただけましたか?

おやすみ前の神話シリーズでは、
世界中の神話をお話しします。

併せて、えむちゃんの朗読ちゃんねるも
ぜひ訪れてみてくださいね!

今日も一日、お疲れさまでした。

それでは、良い夢を。

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