現代日本を震撼させた都市伝説!異形の怪異5選

日本の怪談話に代表される、近代の怪異。

聞き馴染みのあるお化けたちの
知られざる背景の物語の数々。

ただの都市伝説だと、高を括ってはいませんか?

きっと最後には怪談か現実か、
その境がぼんやりわからなくなっていることでしょう。

こんにちは。えむちゃんです。

今回は、日本中を恐怖させた近代の都市伝説、
五体の怪異
をご紹介します。

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口裂け女

真っ赤な服に身を包み、
口元を隠す大きなマスクをした女が
下校中の子供に声を掛ける。

「ねえ、私、綺麗?」

「綺麗」と答えると、
女は口元に手を掛ける。

「これでも…?」

マスクの下から現れた女の口は
耳元まで大きく裂けていた。

驚く子供は、どこかへと連れ去られる。

「綺麗じゃない」などと言おうものなら
女は途端に豹変する。

鎌や包丁、鋏をかざして追いかけられ、
そうして斬り殺されるのだ。

日本全国を震撼させた怨霊、
あるいは妖怪、口裂け女

1979年に広まったこの奇妙な都市伝説は
瞬く間に日本中を駆け巡り、
社会問題にまで発展しました。

繰り返し報道される、口裂け女の警鐘。

“女の容姿は色白、黒髪。
背は高く、推定年齢は30歳前後。
夏の炎天下に不自然な、赤いコートを着ています。

女は子供を攫い、殺します。
十分な警戒を–––。”

こうして世間は恐怖し、
警戒する学校は生徒を集団下校させ、

見守りには親や地域住民、さらには
警察まで出動する事態となりました。

口裂け女の起源には様々な説がありますが、
その一つ、発祥となったと言われる噂をご紹介しましょう。

1978年12月、岐阜県加茂郡八百津町。

農家の老婦が
母屋から少し離れた便所に立つと
庭先の物陰に、人の気配を感じる。

不審に思い近づくと、
人影がバッと顔を向けた。

口の耳まで裂けた女の、おぞましい顔が顕になる。

老婦は恐怖のあまりに腰を抜かして
その場にへたり込んだ。

事件の翌月の、1979年1月26日。

この不気味な出来事が、地方新聞・
岐阜日日新聞に掲載される頃には

口裂け女の都市伝説は、
既に岐阜県と愛知県にまで広まっていました。

同年6月には週刊朝日にも取り上げられ、
やがて全国に知れ渡るうちに
噂は各地で尾鰭が付き、

逃げるととてつもない速さで追いかけてくる、

出会うと鋏で口を裂かれてしまう、

整髪料のポマードの臭いを嫌い
「ポマード」と三回唱えれば逃げ切ることができる、

好物のべっこう飴を与えると見逃してもらえるなど、
あらゆる要素が加えられました。

しかし同年8月、騒動はパタリと沈静化。

一説に、子供たちの通学がなくなる
夏休みの期間に入ったためと言われます。

実は2000年台には
韓国でも流行していた口裂け女の噂。

さて、一体どこまでが怪談話で、
どこまでが現実のお話なのでしょう。

人面犬

人の行き交う繁華街に、ゴミを漁る犬が1匹。

振り返ったその顔は、犬の体にそぐわぬ
人間の男の顔。

不気味な犬は、文句を吐き捨て去ってゆく。

深夜の高速道路。

時速100km以上で走る車を
後ろから猛スピードで追いぬかす不審な何か。

その正体は、人語を操る怪異、人面犬

抜かれた車は、
闇夜の道路で事故を起こすこととなる。

奇妙な犬の目撃情報が最初に寄せられたのは、
1989年の夏から翌年春にかけてのことでした。

「人面犬」と呼ばれた怪しげな噂は当時、
若者向けの雑誌やテレビ、ラジオなどが取り上げたことで
瞬く間に広がり、日本中を驚かせました。

近代の都市伝説のイメージが強い人面犬ですが、
実は古く江戸時代の記録にも
同じく人の顔を持つ犬というものが登場します。

水戸藩士、加藤曳尾庵(かとうえびあん)の記した
随筆『我衣(わがころも)』。

江戸の暮らしを記した全19巻からなる書の
うち14巻の記述です。

閏4月29日の夜、
日本橋大工町に住む作兵衛という者の家の近くで
白斑の犬が人面犬を生んだ。

眼鼻のあたりに毛が生えておらず、
猿のような顔をしていたという。

また、鼻は高く、眉毛の形があり、
母犬も恐れて乳をあげなかったという。

その後も度々、目撃情報の挙がる人面犬。

ただの噂か、見間違いか。

それとも古い時代から
彼らは今もこの世のどこかに潜んでいるのでしょうか。

トイレの花子さん

古い校舎には、
禍々しい邪気がたまるもの。

学校、三階のトイレ。

三番目の扉を三度叩いて、呼びかける。

誰もいないはずの個室から返ってくる、微かな声。

決して扉を開けてはならない。

白いブラウスに赤い吊りスカートを履いた
おかっぱ頭の少女が、
あなたをたちまちトイレの中へと引き摺り込む。

誰もが知る日本の怪異、トイレの花子さん

その正体は、

事件に巻き込まれ
逃げ込んだ先のトイレで死亡した少女の霊、

あるいは虐待を受けて亡くなった少女の怨念など諸説あり、
地域ごとに語られるルーツが異なります。

接触すると殺されたり
血だらけの手が便器から伸びてきたりと
恐ろしい都市伝説が目立つ一方で、

声をかけると優しげな返事をくれる、

日頃のお礼と称してトイレを修繕してくれるなど、

学友のような身近な存在としての花子さん像も
数多く伝わります。

1980年代に子供たちの間で噂になると
一斉に全国に広まり、

1990年代にはトイレの花子さんを題材にした
作品が多数作られ、日本の怪談の代表的な怪異となりました。

先にご紹介の口裂け女の噂しかり、昔の日本の厠は
母屋から離れた場所にあったことが多く、
恐ろしげな負のイメージがありました。

不浄、腐敗、物陰、暗闇。

こうした場所に現れるのは、
夜中に厠を覗き込む妖・
加牟波理入道(がんばりにゅうどう)や、

節分の夜、厠に入るとお尻を撫でてくる
妖怪カイナデ

一方で、江戸時代ごろからの風習として

厠に人形や花を供えて
厠を守護する神、”厠神”を祀っていたといい、

このようにトイレは神様の住む場所でもありました。

神に祀られるその人形とは、
赤や白の女の子の姿をしていたといいます。

ここで思い起こされるのは
赤い吊りスカートを履いた、白いブラウスの女の子。

トイレの花子さんとは、
果たして本当に恐ろしい存在なのでしょうか。

さて、トイレにまつわる
近代の奇妙なお話がもう一つ・・・

赤い紙、青い紙

学校のトイレに入ると、紙がない。

どこからともなく声が聞こえてくる。

「赤い紙が欲しいか?
青い紙が欲しいか?」

あなたは安易に答えてはならない。

選んだ先に待つのはいずれも壮絶な死。

赤い紙を選べば、便器から伸びてきた手に
切り刻まれて血まみれの死体となる。

青い紙を選べば、便器から伸びてきた手に
全身の血を抜かれて青白い死体となるだろう。

トイレの花子さんよりも古く伝わる怪異、
赤い紙・青い紙」。

その内容は地域によって異なり、

他の色を答えれば逃れることができる、

あるいは、異世界へと引き摺り込まれてしまう
などといったものがあります。

一説に、この恐ろしい怪異の正体は
厠神ではないかと言われます。

厠神は、古く厠の守護神であるとともに、
普段から厠をきれいに掃除しておくと
お産が軽くなる、あるいは綺麗な子が生まれるとして
産神子供の成長を見守る神としても信仰されていました。

ただし、禁忌を犯して怒りに触れると、
人に害を為す神へと変貌します。

仏の顔、鬼の顔。

どちらが向くかは、日頃の振る舞い次第です。

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コックリさん

それは、狐の霊を呼び出す降霊術。

「コックリさん、コックリさん、おいでください」

面白半分に行えば
呪われて精神に異常をきたす。

用意した紙の中央には鳥居の絵。

左右に書かれた「はい」と「いいえ」の文字。

下に並ぶ、五十音と数字の羅列。

その上に五円、あるいは十円硬貨を一枚置いて、
参加者全員の人差し指を添える。

そうして怪異に呼びかければ
押さえた硬貨が、不意に文字の上を滑り出す。

狐狗狸(きつね・いぬ・たぬき)」と書いて
“こっくり”と読む、通称こっくりさんは、

1970年代、子供たちの間で大流行し
見る間に社会現象となりました。

その起源は、19世紀に西洋で流行した占いの一種
テーブル・ターニング(Table-turning)」にあると言われます。

霊や精霊とコミュニケーションをとることを目的に、
参加者が不安定なテーブルを囲んで座り
手を置いて質問を投げかける。

動き出すテーブルのその動きから、
暗示を読み取るというものです。

明治時代、日本全国の港からこうした文化が流入し、
流行るようになったのでした。

さて当時、こうした形の占いの原理を
科学的に説明した者がいました。

哲学者にして、現在の東洋大学を創設した教育者、
井上円了(いのうえ えんりょう)。

彼は日本で初めて、
妖怪を科学的に研究しようとした人物です。

円了は実験を重ねた上で、
テーブルや硬貨が勝手に動き出す原因は、

人があらかじめこうなって欲しいという結論を持つ
予期意向」と、

無意識に筋肉に力が入ってしまう
不覚筋動」にあると結論づけました。

これはのちの時代に流行する
こっくりさんの原理に通じています。

元々は、オカルトを楽しむ大人の間で
遊ばれていたこっくりさん。

やがて子供たちが没頭し、集団で気が触れて、
まるで取り憑かれたかのようになってゆく

などといった事例の数々に、
世間は恐れてこっくりさんを禁じる学校も出始めました。

近年においても、類似の占い、あるいは降霊術によって
集団ヒステリーが起きる事件は世界中で報告されています。

呪い、霊、怪異。

一体どこまでが、彼らの仕業なのでしょう?

さて、こっくりさんのように、狐は化け狐のように
怪しげな存在として古く知られていました。

絶世の美女に化けた
悪しき傾国の九尾の妖狐、玉藻前もその一つ。

深淵に潜む妖しき神々!禍いの呪霊4選については
こちらの記事でご紹介していますので、
気になる方はぜひご覧ください。

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