宇宙の最大の謎!暗黒物質ダークマターの正体!(前編)
ダークマター。
それは、正体不明の謎の物質。
宇宙全体の26.8%を占めているにもかかわらず、直接の観測はいまだ実現できていません。
目では捉えることのできない未知の物質ダークマターは、暗く深い宇宙空間に身を潜め、私たち人類が求めてやまない宇宙の秘密を紐解く鍵を隠し持っているのです。
こんにちは。えむちゃんです。
今回は、宇宙最大の謎・暗黒物質ダークマター発見の歴史とその正体の解明に迫ります。
暗黒物質の発見の歴史
スイスの天文学者“フリッツ・ツビッキー”
銀河団。
半径1000万光年ほどの範囲の中に銀河が100個以上集まる、銀河の集合体。
私たちの住む地球はおとめ座銀河団に属し、そのうちの<天の川銀河>、さらにその中の<太陽系>における<第三惑星>にあたります。
1920年代、宇宙の観測技術の進歩により、新しい銀河が次々と見つかった頃、スイスの天文学者フリッツ・ツビッキーは、かみのけ座銀河団の観測を行っていました。
かみのけ座銀河団とは、地球から3.21億光年離れた場所に発見され、銀河団の定義の数を遥かに超える1000以上の銀河を含んだ非常に大きな銀河団です。
この観測で、ツビッキー氏は、ある謎めいた発見をします。
彼はまず、かみのけ座銀河団の質量を机上の計算によって算出し、実際に観測した質量とを比較しました。
すると、なぜか数字が一致しません。
さらに、観測により、銀河団は、秒速1000kmもの早さで動いていることがわかりました。
これは、ありえない速度でした。
観測された銀河団の質量でそれほど早く動いてしまうと、本来、銀河は早さに耐えきれず、バラバラになってしまうはずなのです。
そして、ツビッキー氏は気づきます。
「目に見えない空間に、何かしらの物質が詰まっているのではないか?」
しかし、この理論は、当時にはあまりにも革新的だったため、広く受け入れられることはありませんでした。
アメリカの天文学者“ヴェラ・ルービン”
ツビッキー氏の発見から約50年。
アメリカの天文学者ヴェラ・ルービンは、銀河の回転速度を研究していました。
ある時彼女は、銀河に旋回するガスや星の速度を測りました。
すると、中心から外側のどこを測っても速度が一定であることに気づきます。
これは非常に奇妙なことでした。
なぜなら、当時は、銀河の中心から離れれば離れるほど、周辺を旋回する物質の速度は遅くなると考えられていたからです。
例えば太陽系では、大きな質量を持つ太陽を中心に惑星が旋回していますが、中でも最も中心に近い水星は早い速度で、最も遠い海王星はゆっくりと公転しています。
中心にある質量の大きい物体から発生する引力によって、周囲の物質は旋回をします。
その中心から離れれば、それだけ掛かる引力も弱まるため、旋回速度は遅くなるのです。
同様に、銀河においても、同じ法則が適用されるというのが一般的な理論でした。
ところが、ルービン氏による観測により、銀河では全く状況が異なるということが判明したのです。
銀河の中心から外側にかけ、どの位置にあっても、そしてそれが星であっても、ガスであっても、周囲にあるすべての物質が、一定の速度で旋回していました。
ルービン氏は、この現象の理由をこのように結論づけます。
「銀河のほぼ全体に目に見えない物質が存在し、その質量によって旋回速度を一定に保っているのだ」
その目に見えない物質こそ、“暗黒物質”、“ダークマター”。
それはまさしく、ツビッキー氏が発見した謎の物質そのものでした。
そしてそれは、私たちが認識できているよりも、ずっと多く、計り知れない量で宇宙に存在すると考えられるのでした。
重力レンズ現象の観測
目には見えないだけで、確かにそこに存在すると考えられる、謎の暗黒物質。
二人の天文学者によって存在を示されて以降、観測技術の発展により、ダークマターのその姿を私たち人類は少しずつ捉えられるようになりました。
研究者たちはまず、ダークマターが宇宙空間のどこに存在するかを観測によって明らかにしようとしました。
そこで注目されたのが、“重力レンズ現象”です。
重力レンズ現象とは、恒星や銀河などから発する光が、通過する途中に出会う天体などの引力の影響で曲げられ、屈折して見える現象です。
質量を持つ物質は、引力が発生する。
同様に、ダークマターにも質量がある。
ならば、ダークマターも引力を発しており、その近くを光が通れば、同じように屈折するはず。
つまり、光が屈折する場所には、ダークマターが存在するはずだと推測されるのです。
研究者たちは銀河を通る光の経路を解析し、ついに手がかりを掴みます。
銀河を包み込むようにして存在する“ハロー”と呼ばれる領域に、大量のダークマターが存在することがわかったのです。
重力レンズ現象の観測は、ダークマターの分布だけでなく、質量までも明らかにしました。
驚くべきことに、ダークマターは銀河の質量のほとんどを占めていたのです。
宇宙は何でできているか?
研究はその後もさらに進みます。
銀河を越え、宇宙全体を構成する要素を調査した結果、衝撃的な事実が判明しました。
宇宙全体において、未知の暗黒物質ダークマターが占める割合は26.8%にも昇り、さらに68.3%は正体不明の成分ダークエネルギー、そして、私たち人類が見えていた物質は、たった4.9%という僅かな数字でした。
つまり、宇宙に存在する成分の、実に95%が未だその正体を明かせない謎の物質だということが分かったのです。
初めて存在の可能性を示された1920年代。
当時にはまだ、ありえないものと思われていた暗黒物質ダークマター。
およそ100年が経った現在、私たち人類は、徐々にその正体の解明に近づきつつあります。
宇宙全体の多くを占めるダークマターは、宇宙の構成になぜ必要だったのでしょう?
その性質は、私たちの想像を遥かに凌駕した、唯一無二の、非常に特異なものでした。
そして、この未知なる物質こそが、宇宙の誕生の謎を紐解く最大の鍵となるのです。
続く中編と後編では、ダークマターの持つ驚愕の性質と、そこから新たに分かっていく宇宙の仕組み、そしてダークマターの正体に近づく最新研究についてご紹介します。
ぜひお楽しみに。
→ 『異次元過ぎる4つの性質!暗黒物質ダークマターの正体!(中編)』
また、過去の記事では「宇宙の果てに一体なにがあるのか?」
その途方もなく大きな謎に迫っています。
あわせて見ていただくことで、より理解が深まりますので、こちらもぜひチェックしてみてくださいね。
→ 『宇宙の果てには何がある!?想像を絶する宇宙の大きさの謎!』