【北欧神話5】世界樹ユグドラシルの物語
私は巨人たちを覚えている
太古に生まれた者たちを
遙か昔
彼らは私を育んだ
私は九つの世界を覚えている
九人の樹の女巨人を
枝にて計る名高き樹を
地の根のことを
『巫女の予言』2節
九つの世界を貫き、宇宙にそびえる生命の樹。
世界樹・ユグドラシル。
それは、この世で最も荘厳で気高いもの。
こんばんは。えむちゃんです。
今宵は、世界樹ユグドラシルの物語をお話ししましょう。
ユグドラシルの根

生命の樹ユグドラシル。
その枝は、高く伸び広がり
宇宙にある全ての世界を支えている。
その根は、深く伸び沈み
全ての世界を貫いている。
なかでも 大きな根が三本。
一つ目の根は、
神々の世界アースガルズまで伸びている。
根の真下には、ウルズの泉が沸いており
泉のほとりに住む 運命の女神ノルンたちが
傷ついたユグドラシルを癒している。
二つ目の根は、
巨人の世界ヨーツンヘイムに伸びている。
根の根元には、
ミーミルの泉が湧いており
水には、知恵と知識が隠されている。
三つ目の根は、
氷の世界・ニヴルヘイムの底まで伸びている。
根の先には、
フヴェルゲルミルの泉が沸いており
絶えず冷たい水が吹き出している。
泉には、
邪悪な龍ニーズヘッグが住み着き
ユグドラシルの根を噛んでいる。
ユグドラシルの枝

三つの太い根を下ろした
世界樹ユグドラシルは、
高く高く幹を伸ばし、宇宙にそびえている。
一番高く伸びた枝は、
神の世界アースガルズの頭上に広がり
最高神オーディンの館を覆っている。
枝には、
一羽の鷲フレースヴェルグが止まっており
世界のあらゆる風を起こす。
鷲の両目の間には、
一羽の鷹ヴェズルフェルニルが止まっており
世界のあらゆる出来事を見つめている。
ユグドラシルの幹

ユグドラシルの幹に住むのは、
一匹の栗鼠ラタトスク。
栗鼠は、
世界樹の幹を行き来し
根元に住む邪悪な龍と
枝先に住む鷲に
それぞれの悪い噂を流している。
龍と鷲の間で
激しい争いを起こさせようと
日々奔走している。
ユグドラシルの日陰

ユグドラシルの日陰には、
一面に生き生きとした草が生い茂り
あらゆる動物が住処にしている。
そして、ここに住む山羊ヘイズルーンが
神々の飲み物を無限に生み出している。
また、四匹の鹿ダーイン・ドヴァリン・
ドゥネイン・ドゥラスロールが
ユグドラシルの樹皮を食べている。
鹿の大きな角からは
甘い露が絶えず滴り
やがてそれは地にこぼれ、河へと溶ける。
全ての世界、全ての時を超えて、
世界樹ユグドラシルは世界を支える。
今夜のお話はいかがでしたか?
おやすみ前の神話シリーズでは、
世界中の神話をお話しします。
今日も一日、お疲れさまでした。
それでは、良い夢を。
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