【北欧神話7】魔女グルヴェイグが引き起こす!アース神族とヴァン神族の戦いの物語
彼女は戦争を覚えている
世界の最初の戦争を
グルヴェイグが
槍に突き刺された時
そしてオーディンの館で
彼女が焼かれた時
彼女は三度焼かれ
彼女は三度生き返った
そして今も彼女は生きている
『巫女の予言』21節
グルヴェイグ。
神々と人間を惑わす魔女。
彼女の魔法は、やがて
アース神族とヴァン神族との間に
大きな戦争を引き起こす。
こんばんは。えむちゃんです。
今宵は、魔女グルヴェイグが起こした神同士の戦いの物語をお話ししましょう。
魔女グルヴェイグの登場と3度の死
魔女グルヴェイグ。
その名の意味を、“黄金の力”。
グルヴェイグは
魔法を使って快楽と欲望を与え
人や神をたぶらかす。
そんな魔女の振る舞いに
怒りを露わにしたのは
アース神族の神々だった。
アースの神々は
グルヴェイグを槍で突き刺し
最高神オーディンの館で
3度にわたり その体を焼いた。
ところが 魔女はその度生き返り
また悪行を重ねるのだった。
さて アース神族がグルヴェイグを
殺そうとしたことに
腹を立てたものがある。
それは ヴァナヘイムに住む
ヴァン神族の神々。
魔女グルヴェイグは
ヴァン神族の一員だったのだ。
アース神族とヴァン神族の戦い
神々の世界アースガルズに住む
最高神オーディンを最上とした アース神族。
対するは ヴァナヘイムの世界に住む
謎多き“光り輝く者”たち ヴァン神族。
魔女グルヴェイグの一件で
両者の間にできた亀裂は
徐々に深くなってゆく。
議論は平行線。
話し合いは いつまでたっても
決着がつかない。
ついには アース神族の最高神オーディンが
ヴァン神族の軍勢の中に槍を投げ入れ
これを皮切りに
2つの神族同士の大きな争いが
一斉に始まった。
それは この世界ができてから
初めて起きた 最初の戦争だった。
アース神族を率いるは
魔術・戦術・知識を極める
最高神オーディン。
ヴァン神族を率いるは
豊穣・航海・富裕の神ニョルズ。
アース神族の強力な軍勢を前に
ヴァン神族は一歩も引かず
戦いは激しさを増していく。
やがて 長い長い戦いに
疲れ果てた両軍は
互いに人質を交換することで
和解を試みた。
人質の交換
アース神族が差し出すは
最高神オーディンの参謀・賢者の神である巨人ミーミルと
人類最初の男女を創った美しい神ヘーニルを
ヴァン神族が差し出すは
軍を率いた最も優れし神ニョルズと
神々の中で一番美しいと称えられる
その子供フレイとフレイヤ
そして ヴァン神族の知恵クヴァシルを
それぞれ 人質として送り合った。
ミーミルの死
やがて ヴァン神族は
彼らの国ヴァナヘイムの王の座に
人質のヘーニルを据えることにした。
しかし ヘーニルは
大変 優柔不断な性格であった。
物事を決めるときには
人質として一緒に連れてこられた
巨人ミーミルに必ず頼り
一人では 何も決められない。
そんなヘーニルの姿に
苛立ちを覚えたヴァン神族は
アース神族に侮辱されたのだと怒り出し
ついには 巨人ミーミルの首を切って
アース神族へと送り返してしまった。
今夜のお話はいかがでしたか?
おやすみ前の神話シリーズでは、
世界中の神話をお話しします。
今日も一日、お疲れさまでした。
それでは、良い夢を。