【北欧神話10】神々の武器を作りし名工・小人族の物語
その時力ある神々はみな進み出て
己が運命の座に着いた
そして、高貴なる神々は
考えを巡らせた
はたして
ドヴェルグの一族を作るべきかと
ブリーミルの血から
またブラーインの骨から・・・。
『巫女の予言』9節
神々の武器、神々の宝を作りし、小人族。
“ドヴェルグ”と呼ばれる彼らは
原初の巨人ユミルの体から生まれた。
こんばんは。えむちゃんです。
今宵は、神器を作りし名工たち・鍛治に長けた小人族の物語をお話ししましょう。
小人族の誕生
太古の巨人にして
巨人族の祖であるユミルが
最高神オーディンらによって殺された頃。
世界は ユミルの体から作られた。
ユミルの体が崩れ
腐敗し始めると
そこから夥しい数の
小さきものが湧き出した。
神々はこの小さき者たちを
どうしてやるべきかと考えた。
そして 小さき者たちを呼び集め
人の形にし
それぞれに知恵を授けた。
小人族と妖精族
小さきものたちは
二つの異なる種族に分かれた。
一つは 薄暗い体を持つ 小人族。
彼らはずる賢く
嘘つきな者が多かった。
そのため 神々は
大地の下に広がる暗く冷たい世界
スヴァルトアールヴヘイムへと追いやった。
もう一つは
白く光り輝く体を持つ 妖精族。
彼らは素直で
優しい者が多かった。
そのため神々は
天空と大地の真ん中にある美しい世界
アールヴヘイムに住まわせた。
小人族の性格
さて スヴァルトアールヴヘイムへと
追いやられた小人族は
かわいそうに 神々によって
日の光に当たると石になる
恐ろしい魔法までかけられてしまった。
日の出る大地の上へ出ることを
禁じられた小人族は
日々働き 地中から
鉱石や宝石 黄金を掘り集めた。
小人族の功績
小人の中には
魔法の力を持つ者も現れ
彼らは宝の守り手となり
また 深い知恵を持つ賢者となった。
何よりも手先が器用な小人族は
皆 素晴らしい職人となった。
鍛治と魔法を操り
誰も見たことのないような
不思議な魔法の武器や
この世のものとは思えないほど
美しい装飾品を いくつも作り出した。
最高神オーディンの持つ
全てを貫く槍 グングニル。
雷神トールの持つ
投げれば必ず敵を仕留める槌 ミョルニル。
巨狼フェンリルを捕らえた
力を加えるほど丈夫になる紐 グレイプニル。
九夜ごとに
同じ重さの腕輪を八つ滴り出す
オーディンの黄金の腕輪 ドラウプニル。
天空も水中も
どの馬よりも早く駆け抜ける
最も美しい神フレイの乗り物
黄金の猪 グリンブルスティ。
全ての神々を乗せられるほど大きく
折り畳めば袋に入るほど小さい
魔法の帆船 スキーズブラズニル。
神々に献上されたそれらはみな
最上級の武器となり 宝となった。
今夜のお話はいかがでしたか?
おやすみ前の神話シリーズでは、世界中の神話をお話しします。
今日も一日、お疲れさまでした。
それでは、良い夢を。