自然を超越する叡智!時代とともに秘術を繋いだ稀有の錬金術師7選

錬金術。
それは紀元前から伝わる、禁じられた学問。

19世紀、とある冒険家が
古代エジプトの墓から不思議な文書を発見した。

古代ギリシャの言葉で綴られる、
111もの神秘的なレシピ。

化学に通ずる実践的な学問であった錬金術は、
時代とともに、怪しげな研究へと変貌していく。

黄金を生成する賢者の石

不老不死の霊薬エリクサー

やがて人は欲に狂い、秘術は糾弾された。

多くの知恵ある先人たちが
命懸けで没頭した錬金術。

果たしてその先は、世界の真理に通じていたのか?

こんにちは。えむちゃんです。

今回は、自然を超越する叡智!
時代とともに秘術を繋いだ7人の錬金術師
をご紹介します。

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“錬金術の始祖” ヘルメス・トリスメギストス

錬金術の始祖と言われる
伝説の錬金術師、ヘルメス・トリスメギストス

その名の表すは、“三倍偉大なヘルメス”。

その正体は、
ギリシャ神話の“学術の神ヘルメス”と
エジプト神話の“知恵の神トート”が融合した
神、或いはそれに近しい存在であるとされています。

彼が残した錬金術にまつわる文献の数々には、
占星術や魔術に関する思想を記した
2~3世紀の写本”ヘルメス文書“が挙げられます。

自らが編み出した12の錬金術の奥義を
ヘルメス自身でエメラルドの石板に刻んだとされる
エメラルド・タブレット“は、短い文章の中に
錬金術の全てが隠されていると言われています。

「ただ一つの奇跡のためには、
下のものは上のもののごとし、
上のものは下のもののごとし。」

実物は現在も見つかっていないものの、
複写したものが受け継がれ、

後に多くの錬金術師たちが
その解釈を巡り、研究を重ねることとなるのです。

“錬金術の師” パノポリスのゾシモス

知られる中で最古の錬金術書を書き上げた
“錬金術師の師”、ゾシモス(3世紀〜4世紀)。

3世紀、
エジプトの古代都市パノポリスに生まれ、
錬金術の始祖・ヘルメスとともに
初期のギリシャ錬金術を後世へと伝えた人物です。

ゾシモスは
ある金属を別の異なる金属へと作り変える
金属変成の技術を得意とし、

彼の手から作り出される金銀は
自然物よりも遥かに質が高かったと言います。

化学という学問が生まれる前の先駆けとして
ギリシャの哲学者たちが取り組んだ錬金術。

物質の原理を捉えきれていない当時、
化学反応による金属の生成を
ゾシモスは生物的な交配の一種と考えました。

古代エジプト・ギリシャで発展した錬金術は、
やがて中世のアラビアへと広がります。

二人が残した文書はアラビア語に翻訳され、
後世に多大な影響を与えるのです。

“錬金術の父” ジャービル・ブン・ハイヤーン

8世紀に活躍した「錬金術の父」。

アラビア最大の錬金術師、
ジャービル・ブン・ハイヤーン(721年頃〜815年頃)。

ヨーロッパではゲーベルと呼ばれる
伝説的な人物です。

イラン東部の町で生まれたジャービルは、
薬草医を生業としていました。

錬金術、天文学、哲学、物理学、音楽など
あらゆる分野に精通し、

特に科学や薬学の分野で歴史的な発見をしています。

硝酸や硫酸の発見。

アランビックと呼ばれる蒸留器の開発。

貴金属を溶かす王水(おうすい)の発明。

さらには生涯で数百を超える
著作を残したと言われ、

その中の一節が、
後に世界を騒然とさせるのです。

「全ての金属は水銀と硫黄の化合物であり、
エリクサーという物質を発見すれば、
金への変成が可能になる」

時が経ち、12世紀。

アラビアの錬金術は
中世ヨーロッパへと伝播します。

化学的な技術としての錬金術は
より魔術めいたものとして捉えられるようになりました。

エリクサーは、
如何なる病も治す万能薬、
あるいは永遠の命を得ることができる霊薬として。

そして、卑金属を金に変え
人に不老不死の力を与えるとされたのが、賢者の石でした。

アラビアにおいては黄色、
ヨーロッパでは赤色で表現されるその石は、
石とは言えど、形を留めない液体のことも指しました。

賢者の石は錬金術の最高傑作と評され、
錬金術師たちはこぞって研究に没頭します。

そんな中、ついに生成を叶えたという人物が現れるのです。

“賢者の石の精製者” ニコラス・フラメル

賢者の石を作り出したと伝わる
稀代の錬金術師、ニコラス・フラメル(1330年〜1418年)。

1330年、
フランスのパリ近郊で生まれたフラメルは、
ある日、異国人から秘法の書を入手します。

ギリシャ語とヘブライ語で書かれた奇妙な本。

それが錬金術の手引き書だと気付くと、
フラメルは解読のため、
フランスからスペインへと向かいました。

そこで出会ったユダヤ人の学者カンシュと共に
実に21年という年月をかけて
本に書かれた錬金術の奥義を習得。

大部分を解読したところで
カンシュは亡くなってしまいますが、

フラメルはこの時、鉛を金に変える
賢者の石の精製に成功し
不老不死になったという伝説が残っています。

スペインからの帰国後、
フラメルは、錬金術を駆使し莫大な富を得て、

教会や病院などに多額の寄付を行っていたことが記録されていますが、
彼が実在したかどうかは、未だ分かっていません。

そして迎える16世紀。

ヨーロッパでは、錬金術の最盛期に突入します。

“医化学の祖” パラケルスス

医学と化学を掛け合わせた、
スイスの錬金術師。

「医化学の祖」、
パラケルスス(1493年〜1541年)。

本名、テオフラストゥス・フォン・ホーエンハイムは、
医師、化学者、錬金術師と多くの肩書きを持ち、
しかしその生涯のほとんどは放浪して過ごしていました。

そんな彼が歴史に名を残した理由。

それは、これまで錬金術の目的は
金を生成することに重きを置いていたのに対し、

あらゆる病気を治す万能薬や賢者の石、
これら医薬品を作るべきだと主張
し、
自らもその研究に没頭したことにあります。

幼少期、放浪の医者であった父に
医学や化学、自然哲学を学んだパラケルススは
ドイツの修道院長のもと、魔術の理論を習います。

その後、15歳頃から放浪を始め、
スイスとイタリアの大学で本格的に医学を勉強。

博士号を取り、卒業後は
再び父のもとで化学の研究に励み、

23歳頃にはヨーロッパの各地を旅して、
軍医や町医者、時には大学教授として働きながら過ごしました。

薬は植物から作られることが主流だった当時、
錬金術を用いて、
鉱物や化合物を薬として利用したパラケルスス。

その名はヨーロッパ中に知れ渡り、
同時に、彼が賢者の石の精製に成功した
という噂が広まりました。

彼自身はというと、著書の中で
小人の人造人間ホムンクルスの生成に成功したと書いています。

“フラスコの中でしか生きられない
その小さな生き物は、生まれながらに
あらゆる叡智を備えている。”

生成方法まで記していますが、
それを再現できた者は他に現れませんでした。

パラケルススの死後、
錬金術はさらに盛り上がりを見せます。

神聖ローマ皇帝、ルドルフ2世が
錬金術師や占星術師、科学者、芸術家、魔術師たちをプラハに集め、
学問や芸術を保護したのです。

特に、錬金術には大きな関心を寄せ、
身分や国籍を問わずパトロンになるというので
錬金術師の数は急増。

偽の金や錬金術書を売り出す詐欺師や
研究費をもらうためだけに
錬金術師を騙る者も現れ、

やがて錬金術は怪しいものという
見方をされるようにもなりました。

しかし、そんな中でも
真理を追求した錬金術師たちは、
のちの現代科学に大きな影響を与えるのです。

“世界最後の魔術師” アイザック・ニュートン

17世紀に生きた「世界最後の魔術師」。
誰もが知る天才科学者、
アイザック・ニュートン(1643年-1727年)。

彼が晩年、錬金術の実験に没頭していたことは
知らない方も多いでしょう。

万有引力、微分積分、光の分析と
多大な功績をあげたニュートンは、
56歳のころ、錬金術に興味を持つようになりました。

造幣局長官を務める傍ら、
錬金術の研究を密かに始めます。

錬金術を騙った詐欺の横行。

賢者の石が発見されれば
金の価値が暴落する恐れもあり、
当時、錬金術の実験は一部禁止されていました。

許可なく行なえば、
最悪、絞首刑が待っています。

そのためニュートンは
錬金術の研究結果を公にすることなく、
最後まで隠し通したのです。

命の危険を冒してまで、
ニュートンが錬金術に取り組んだ理由。

その目的は、化学的な新発見ではなく
古の叡智の再発見にありました。

賢者の石の発見を第一に、
エリクサーの発見を第二に目指し、
来る日も来る日も実験を重ねます。

ところがある時、研究所で火災が起き、
錬金術にまつわる文書の大半が消失してしまうのです。

天才が最後に挑んだ秘密の研究。

わずかに残された文書からは
現存しないエメラルド・タブレット
ニュートンによる英訳が発見されています。

果たして彼は、
真理に辿り着いたのでしょうか?

時は18世紀。

錬金術は、生まれたばかりの化学へと発展、
あるいは神秘学と、二つの道に分岐します。

最後にご紹介するのは
なんとも奇妙な噂の残る、怪しげな人物。

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“時空を超える錬金術師” サンジェルマン伯爵

その男、“ヨーロッパ史上最大の謎”。

時代を跨ぎ現れる
“不老不死”のタイムトラベラー、
サンジェルマン伯爵(1691/1707年〜1784年)。

18世紀のフランスの社交界に突如姿を見せた、
謎の貴族です。

莫大な富を持ち、あらゆる言語を自在に操る。

遥か古代の様子をまるで見てきたかのように話す。

数多くの伝説が残るサンジェルマン伯爵は、
錬金術にも精通し、

一説に長寿をもたらす秘薬を用いて
数千年もの時を生きている、

あるいは、時間を自在に旅している
と言われています。

多くの王族や著名人たちがその存在を証言し、
現代に至るまで目撃情報が後を絶ちません。

人の行き交う街中、歩くあなたの横を
彼はすれ違っているかも知れません。

サンジェルマン伯爵の詳細なお話を含む
4人のタイムトラベラーたちの奇妙な事件
については、
こちらの記事でご紹介していますので、
気になる方はぜひご覧ください。

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