【アステカ神話】血と生贄の文明!アステカ最強の神々8選
アステカ帝国。
それは1428年頃からおよそ95年に渡り
中央メキシコに繁栄した
高度な文明を持つ先住民の国。
アステカの民は独自の神話世界を持ち、
100を超える神々を信仰していました。
なかでも強い力を持つ、8の神々。
人は彼らに乞い願い、
喜ばしい生贄を捧げ
安寧を享受するのです。
こんにちは。えむちゃんです。
今回は、血と生贄の文明!アステカ最強の神々8選をご紹介します。
二元性を司る創造神・オメテオトル
アステカの創造神は、二元性を司る。
光と闇、男と女、秩序と混沌、静と動。
対極を兼ねる完全体、オメテオトル(Ometeotl)。
その名は「二面性の神」を意味し、
神々や人間、動物など
この世の“万物の起源”とされる神です。
オメテオトルは老夫婦の姿で描かれ、
男性的な側面を持つ神、トナカテクトリ(Tonacatecuhtli)と
女性的な側面を持つ神、トナカシワトル(Tonacacihuatl)の
二神を指すとも言われます。
オメテオトルは、神の子たちを産みました。
そうして彼らを産んだ後、
あとの世界の創造は子供達に任せて
自分は身を引きました。
アステカ神話において、この世界は
地上から天にかけての13の層と
地下にある9の層から成ると信じられます。
その中でオメテオトルは
最上部の13層目にあたるオメヨカンという場所に鎮座して、
時空を超越した頂点から
変わりゆく世界をただ静かに見守っているといいます。
破壊と戦争の神・テスカトリポカ
アステカの破壊神は、混乱を招く。
敵意、魔術、夜空。
戦争の神、テスカトリポカ(Tezcatlipoca)。
その名は「煙を吐く鏡」を意味し、
最も力を持つ神であるとされます。
身体は黒く、
顔には黒と黄色の模様を塗った姿で描かれ、
時にジャガーに変身するとも伝えられています。
アステカ神話において、
時代は世界を統治した神ごとに区分され、
それらは太陽と言い表されました。
現在の世界は「第五の太陽」と呼ばれ、
過去には4つの異なる世界がありましたが、
いずれも創造されては滅ぼされてきました。
テスカトリポカは
一つ目の世界「第一の太陽」を支配した神。
己の右足を犠牲に、怪物を倒したことで
天地を創造し、支配者の座に君臨しました。
しかし、対立する兄弟によって陥落させられ、
怒ったテスカトリポカはジャガーに姿を変えて
世界を滅ぼしてしまったといいます。
農耕と文化の神・ケツァルコアトル
アステカの農耕神は、慈悲の心を持つ。
調和、生命、文化、風。
平和の神、ケツァルコアトル(Quetzalcoatl)。
その名は「羽毛のある蛇」を意味し、
兄弟かつ宿敵であるテスカトリポカとは対照的に
白い身体であるとされます。
ケツァルコアトルは
アステカ以前から存在した様々な文化において
水や農耕の蛇神として信じられていた、古い神。
のちに人類に文明を授けた神として
アステカの信仰に取り入れられ、
世界を創造した神の一柱となりました。
彼にはもう一つの姿がありました。
二つ目の世界「第二の太陽」を支配した
風の神エヘカトル(Ehecatl)です。
しかし、暴風によって世界は再び滅ぼされ、
頂点の座から陥落してしまいます。
雨と稲妻の神・トラロック
アステカの雨神は、農耕を守護する。
豊穣、雷、恵みの雨。
稲妻の神、トラロック(Tlaloc)。
その名は「大地に座する者」を意味し、
ギョロッとした目と口髭のような上唇、
大きな犬歯を持った姿で描かれ、
山や洞窟、泉に住むとされました。
トラロックは生命と糧を与える神で、
また、干魃や雨を司ると信じられました。
それゆえアステカの人々は
雨乞いの際、トラロックのために儀式を行い
山の頂で多くの子どもを名誉ある生贄として捧げました。
トラロックは
三つ目の世界「第三の太陽」を支配しますが、
火の雨によって滅ぼされ、陥落してしまいます。
水と豊穣の神・チャルチウトリクエ
アステカの水神は、出産を守護する。
豊穣、嵐、川、浄化。
高貴なる女神、チャルチウトリクエ(Chalchihuitlicue)。
その名は「翡翠のスカート」を意味し、
緑色の石のネックレスや、青緑の首飾り
青い帽子を身に纏う女性の姿で描かれます。
雨の神トラロックの妻、
あるいは姉とされる神で、
二人は水を司る点で似ているように思えますが、実は対の存在です。
雨などの「天からの恵みの水」を象徴するトラロックに対し、
チャルチウトリクエは海や湖など
「大地にすでに存在する水」を象徴します。
水には浄化の作用があると信じられ、
それゆえ生まれてくる子ども達は
女神の加護を願い、水で清められました。
また、水が乏しくなる乾季には
チャルチウトリクエへの生贄として
多くの子供達が湖に捧げられました。
チャルチウトリクエは
四つ目の世界「第四の太陽」を支配した神。
しかし、世界は洪水によって滅ぼされてしまいます。
太陽と戦の神・トナティウ
アステカの太陽神は、贄を欲する。
太陽、血と心臓、戦神。
好戦的な神、トナティウ(Tōnatiuh)。
その名は「光り輝く者」を意味し、
赤く塗られた身体に金色の髪、
鷲の羽飾りをあしらった姿で描かれます。
1790年に発見されたモノリス、「太陽の暦石」は
アステカの宇宙観と世界観を集約した円盤。
一説に、その中心に彫られた彫刻は
疲弊したトナティウが鋭い舌をたらして
人間の血と心臓を要求している姿であると言われます。
トナティウは
現代に通ずる五つ目の世界「第五の太陽」を支配していますが、
この世界はいずれ地震によって滅亡するとされ、
人間は空の怪物ツィツィミメに喰われてしまう
と予言されています。
狩猟と太陽の神・ウィツィロポチトリ
アステカの軍神は、民を守護する。
戦争、狩猟、戦士、犠牲。
部族神にして太陽の神、ウィツィロポチトリ(Huitzilopochtli)。
その名は「ハチドリの左側」を意味し、
ハチドリを模った装飾を身につけ、
槍と盾を持った戦士の姿で描かれます。
生まれた時から戦士の衣装を纏い、
手には炎の蛇、シウコアトルという武器を
持っていたと伝わるウィツィロポチトリ。
その強さは、姉である月の女神コヨルシャウキと
兄たちである星の神々の
ほとんどを滅ぼしてしまう程でした。
ウィツィロポチトリはアステカの民に
特別崇拝されていました。
人々をメキシコ盆地へ導き
住むべき場所を教えたのも彼だったと言われます。
「鷲がサボテンの上にとまり
蛇を喰らう場所を見つけ、
そこに首都を創設せよ」
そうして成立した
アステカの首都テノチティトランは、
現在のメキシコシティとなり、
メキシコの国旗には
この神託を表すモチーフが描かれています。
死と冥府の神・ミクトランテクトリ
アステカの死神は、死者の骨を守る。
死者と骨、蜘蛛と梟、冥界の王。
冥府の神、ミクトランテクトリ(Mictlantecuhtli)。
その名は「頭から落ちる者」を意味し、
その姿は大きな装飾をつけた骸骨、
あるいは眼球の突き出した人として描かれ、
蝙蝠の姿に変身するとも言われます。
アステカの人々は夜に鳴く梟を
ミクトランテクトリの使いと考え、
死や不幸の到来を告げる不吉な存在と捉えました。
また、人は自然死すると
その魂は地下に向かうとされました。
目指すは、地下の支配者・
ミクトランテクトリの住む9層目、
世界の最下層ミクトラン。
魂は実に四年もの時間をかけて
様々な難所を越えながら
ようやく地底に辿り着くのだといいます。
死後の旅に苦難が待ち受けるという点においては
日本の仏教にも通づるところがあります。
たとえば四十九日という習わし。
これは魂が冥土を旅して
7日ごと、地獄の大王たちに
罪を裁かれる期間です。
その道のりは修行のように険しく、
生身の人ではすぐに命が尽きるほど。
恐ろしいのは、この苦行、
実は死後ほぼ全員、通らねばならないのです。
死者の罪を裁く最強の王たち!
地獄の十王については
こちらの記事でご紹介していますので、ぜひご覧ください。