【星座神話】さそり座。鮮紅の“スコーピオ”の物語 / おやすみ前の神話シリーズ

夏の夜空に瞬く、さそり座。

ささやかなる身躯に秘めし
先鋭の毒針。

己の力におごりたかぶる
巨人までもが逃げ惑う。

こんばんは。えむちゃんです。
今宵は、黄道十二星座の一つ、
鮮紅のさそり座“スコーピオ“の物語
をお話ししましょう。

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さそり座の歴史

大きくS字に湾曲する夏の星座。さそり座

特徴ある星の並びは
古来、世界中で人々の目に留まり
あらゆる姿で伝えられました。

たとえば日本の各地では
魚の釣り針を表す呼び名で親しまれ、

中国では体をさらに大きく延ばして
強く優しい青龍の姿を描きました。

さそり座の誕生は紀元前3000年頃、
古代メソポタミアの地に発祥した星座の中に
当初から存在していました。

左右に開いた2つの星は
さそりの頭やハサミに見立てられ、
しかし当時は今の姿よりも
さらに大きい体だったことがわかっています。

かつて、さそりの頭のその先には
現存しない古い星座
「さそりの爪座」があったのです。

のちに星座が普及すると、
いつしかそれは「てんびん座」の一部となりました。

中央に明るく光る星は
さそりの心臓、アンタレス

この星もまた、各地でたびたび
心臓に見立てられてきた一等星で、
日本では“アカボシ”などと呼ばれます。

さそり座にまつわる神話は諸説あり、
ギリシャやローマの神話を綴った詩人の記述によれば

時に太陽神と同一視される光の神アポロン
そのやんちゃな息子パエトン

自分が偉大な神の息子であることを証明しようと
父の太陽の戦車を操縦することを要求し、

各地に被害を及ぼすほどの大暴走を起こした際、
戦車をひく4頭の馬を驚かせたのが
このさそりであるとしています。

今日の主な神話として語られているのは
古代ギリシャ人の天文学者エラトステネスの名を騙った
おそらくは別人によるものと見られる偽書、
カタステリスモイ」の散文。

そこに記された物語は、このようなものです。

さそり座の神話 狩猟の巨人オリオン

昔々、古代ギリシャの地に
オリオンという名の巨人がいました。

海の神ポセイドンを父に持ち、
体は逞しく、背も高く、
そして母親似の大変美しい容姿をしていました。

若いオリオンは積極的に狩りに赴き
その腕は確かに随一でした。

しかし、狩猟仲間たちに
世界一の猟師だとおだてられ、

酒の席でつい気分が良くなって
オリオンはこう言い出しました。

「その通り。私は一番の狩人だ。

ほかの誰も、動物たちも、
凶暴なものも逃げ足の速いものも
何者だって私に敵うものはいない。」

なんて高慢なことを言ってしまったのでしょう。

さらにオリオンは腕自慢まで始める始末。

思い上がった行動は、
神々の怒りに触れてしまいました。

オリオンと小さなサソリ

原初の世界から存在する
偉大なる大地の女神ガイアは、
この傲慢な男に制裁を加えるべく
地上に1匹、小さなサソリを放ちました。

サソリは女神の命に従い
オリオンの元へ赴くと、
その大きな足元にまで接近します。

と、そこで
なにやら小さな存在に気づいたオリオンが
さっさと踏み潰してしまおうと
右足を持ち上げた、その瞬間。

左足に、サソリの毒針が
ひとたびチクンと刺さりました。

皮肉なことには
自分があらゆるものの頂点にいると思っていた
豪腕の巨人オリオンは、
小さなサソリに敵わなかったのです。

オリオンは毒にのたうちまわり、
苦しみながら死んでしまいました。

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星座になったオリオンとサソリ

大地の女神ガイアは
サソリを称えて天に掲げ、
そしてオリオンもまた
その勇敢なる精神を称え星座にしました。

オリオン座の右下に輝く青白い星リゲル
サソリに刺された左足。

二つの星座は夏と冬の対極の空に輝き
サソリが東に現れた途端、
オリオンは恐れをなして
西の空に逃げ隠れてしまうのです。

オリオンの死には諸説あり、
結婚を見込んだ狩猟の女神アルテミスとの
悲劇の別れの物語も存在します。

そのお話は、また別の機会に。

空に輝くさそり座の物語。

お楽しみいただけましたか?

おやすみ前の神話シリーズでは、
世界中の神話をお話しします。

併せて、えむちゃんの朗読ちゃんねるも
ぜひ訪れてみてくださいね!

今日も一日、お疲れさまでした。

それでは、良い夢を。

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