背筋も凍る奈落の底!日本の八寒地獄!
そこは、悪行を積んだ者が落ちる場所。
暗く深い闇の底。
地獄の冷気に、皮膚は裂けて、血は凍る。
罪人は下へ、下へ・・
地獄の底へと落とされる。
これよりご覧にいれるのは
凍てつく8つの地獄世界。
悪き者たちが行き着く最果て。
さて貴方は、どこまで目を逸らさずにいられるか?
こんにちは。えむちゃんです。
今回は、背筋も凍る奈落の底!日本の八寒地獄
をご紹介します。
八大地獄と八寒地獄
天の“極楽浄土”、奈落の“地獄”。
貴族の間で極楽浄土への導きを願う
浄土信仰が広まった平安時代、
死後の世界観についてを
詳しく書き記した人物がいました。
天台宗の僧侶・源信。
985年、源信は
インドの仏典に描かれた地獄や極楽の様子や、
極楽に行くための方法などを
仏教書『往生要集(おうじょうようしゅう)』にまとめています。
生前、念仏に励めば、
死後、安らぎに満ちた極楽浄土で
十楽と呼ばれる十の喜びを得ることができる。
生前、罪を犯せば、
死後、苦しみの続く地獄が待っている。
地獄は二つの対を成し、
一つは、灼熱の“八熱地獄”、
一つは、極寒の“八寒地獄”。
この『往生要集』において
源信は“八熱地獄”についてを詳細に綴っており、
通称“八大地獄”として、庶民の間にも広く知れ渡りました。
一方で、“八寒地獄”については
あまり多くは語られていません。
少ない情報ながら、それでも八熱地獄と並んで
現代にも伝わる八寒地獄とは
一体どんな世界なのでしょう?
地底に広がる全八層、深くなるほど
極寒の責め苦も増してゆく。
世にも恐ろしい、八寒地獄巡りの始まりです。
八寒地獄
第一層:頞部陀地獄 / Arbuda
この世の地中、深く深くに
罪人たちは落ちてゆく。
ずうっと落ちて、ようやく見えたその地獄は
八寒地獄の最上層。
最も易しい第一の地獄、
頞部陀地獄(あぶだじごく)。
あまりの寒さに鳥肌が立ち、
身体中にはあばたが生じる。
「あばた(arbuda)」とは、
天然痘が治った後に皮膚に残る、小さな凹凸の痕のこと。
転じて、頞部陀という名の由来となりました。
極寒の中、罪人たちはこれから
気が遠くなるほどの年月を
ここで過ごさなくてはなりません。
具体的な数字は明確にされていないものの、
八熱地獄を参考とするならば、
その第一層は1兆年を優に超える
永遠とも近い刑期が定められています。
しかし、ここはまだ一番易しい第一の地獄。
第二、第三と下るごとに
その厳しさは増していくのです。
第二層:尼剌部陀地獄 / Nirarbuda
頞部陀地獄の下に広がる
八寒地獄の第二層、尼剌部陀地獄(にらぶだじごく)。
あまりの寒さに鳥肌も潰れ、
全身はあかぎれに覆われる。
永遠のように長く続いた第一の地獄。
ここではその20倍もの刑期が待ち構えます。
第二層にして既にこれほどの厳しさ。
この先、一つ下るごとに、
刑期はさらに20倍ずつ膨れ上がっていくのです。
第三層:頞哳吒地獄 / Atata
尼剌部陀地獄の下に位置するは
八寒地獄の第三層、頞哳吒地獄(あたたじごく)。
吹きつける冷たい風に、
「あたた」と叫ぶ声が響く。
頞哳吒の名はここに由来するとされます。
第四層:臛臛婆地獄 / Hahava
頞哳吒地獄の下に位置するは
八寒地獄の第四層、臛臛婆地獄(かかばじごく)。
体はこわばり、舌がもつれ、
「ははば」と呻く声が漏れる。
臛臛婆の名はここに由来するとされます。
罪人たちの悲痛な声は、さらに次の地獄でも・・・
第五層:虎虎婆地獄 / Huhuva
臛臛婆地獄の下に位置するは、
八寒地獄の第五層・虎虎婆地獄(ここばじごく)。
口も開かず、喉の奥からかろうじて
「ふふば」とかすれる音がする。
虎虎婆の名はここに由来するとされます。
言葉にならない悲鳴が続き、
この先いよいよ、声も出ず。
罪人たちの体が、心が、凍てつき蝕まれてゆく。
第六層:嗢鉢羅地獄 / Utpala
虎虎婆地獄の下に位置するは
八寒地獄の第六層、嗢鉢羅地獄(うばらじごく)。
またの名を、青蓮地獄(しょうれんじごく)。
「嗢鉢羅(utpala)」とは、
サンスクリット語で「青い睡蓮」の意。
極寒に晒され、全身は凍傷のためにひび割れて
まるで青い睡蓮のように捲れ上がる。
凍傷は時に皮膚だけでなく
肉や骨まで破壊して、
罪人は痛ましい姿と成り果てます。
第七層:鉢特摩地獄 / Padma
嗢鉢羅地獄の下に位置するは
八寒地獄の第七層、鉢特摩地獄(はどまじごく)。
またの名を、紅蓮地獄。
「鉢特摩(padma)」とは、
サンスクリット語で「蓮華」の意。
空気も凍る極度の寒さに
皮膚はますます裂けていき、
流れた血はまるで紅い蓮の花のように広がる。
地獄巡りもいよいよ大詰め。
最下層、奈落の底が見えてきました。
第八層:摩訶鉢特摩地獄 / Mahapadma
八寒地獄の第八層、摩訶鉢特摩地獄(まかはどまじごく)。
またの名を、大紅蓮地獄(だいぐれんじごく)。
どこまでも広がる広大な世界。
次元を超えた極寒は、
時間すらも凍らせる。
その寒さは、これまで見てきたほかの地獄が
いずれも極楽に思えるほど。
罪人の体は折れ、肉は裂けて、
赤々としたその血肉は、真紅の睡蓮のごとく
静寂の地獄を彩るのです。
身の毛もよだつ八寒地獄巡り。
お楽しみいただけましたか?
想像するだけでも、こちらまで冷えるような
恐ろしい地獄絵図でした。
今すぐ暖まりたい、そんなあなた。
ぜひお次は、灼熱の八熱地獄巡りはいかがですか?
地獄の火炎で煮て、焼いて、熱して。
鬼があらゆる道具を駆使して、
少々痛みも伴いますが、すぐにあなたを暖めてくれますよ。
世にも恐ろしい奈落の底!日本の八大地獄については
こちらの記事でご紹介していますので
気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね!