世界を統べる幻の蛇!5体の世界蛇!
蜿蜿と地を這うは、
この世ならざる大蛇たち。
世界を覆うほどの巨体を
所狭しとうねらせて
海底に、地底世界に、冥界に
彼らは永く身を潜める。
聖なる神か? 悪の化身か?
ついに彼らの動く時、全ては終焉を迎える。
こんにちは。えむちゃんです。
今回は、大地にうごめく幻の大蛇!
神話に伝わる世界蛇5選をご紹介します。
虹の蛇アイド・ウエド / ダホメ神話
アフリカ西部、ダホメの神話に伝わる
虹の蛇、アイド・ウエド(Aido Hwedo)。
アフリカ神話に伝わる創造神マウが
宇宙を移動する際、
アイド・ウエドの背に乗って、
宇宙と大地を創り出す協力をさせたと言われています。
巨大なアイド・ウエドの排泄物は
山となって地上に連なり、
次第に重くなりすぎて
ある時より大地は、
宇宙の中へと落下し始めました。
事態に気付いたマウに命じられ、
アイド・ウエドは髑髏を巻いて
何とか大地を支えます。
しかし、あまりの重さに
体は悲鳴を上げ、苦痛に震える時、
支える大地もまた激しく揺れて、
地震が起きました。
そして、熱を帯びた巨体を冷やすため
水の満たされた海が作り出されました。
アイド・ウエドは
その強大な力を維持するため
海中の鉄を大量に食べ続けていますが、
やがて鉄も枯渇すると
自らの尻尾を貪り食ってしまうとされています。
そうしてついには
髑髏を巻くことができなくなり、
支えられていた大地は海に沈んでしまうのです。
アナンタ・シェーシャ / インド神話
インド神話に伝わる”原初の蛇”、
アナンタ・シェーシャ。
千の頭を持つ蛇の神。
その名は“無限”・“永遠”を意味します。
神話に伝わる7つの地底世界のうちの一つ、
蛇族の住むパーターラの最も深い場所に住み、
千の頭で世界を支えているとされます。
この世界が始まるよりもずっと昔、
宇宙が未だ混沌の海だった頃。
世界の維持を司る神ヴィシュヌは
アナンタの上に乗って船代わりに移動し、
やがてそのまま、アナンタの上で眠りにつきました。
歩けばたった3歩で
世界を一周できるとされるヴィシュヌ。
アナンタが如何に巨大であるかは言わずもがな。
一説には、
ヴィシュヌのヘソから蓮の花が生え、
そこから宇宙と生物の創造神ブラフマーが生まれ、
そしてブラフマーの額から
破壊神シヴァが誕生したとされています。
やがてこの世の終末の時、
シヴァは世界と宇宙を破壊します。
全てをリセットし、
新たな世界を一から作り直すのです。
遍く生物たちの消え去った後も
ヴィシュヌはアナンタの上で眠り続け、
世界が新たに創造されるその時、
再び目を覚ますと伝えられています。
また、別の伝承によれば、
各時代の世界の終わりには
アナンタが地上に遣わされ、
全てのものを破壊するともされています。
アペプ / エジプト神話
エジプト神話に伝わる
闇と混沌の大蛇、アペプ。
世界が誕生する前の原始の水の中から生まれ、
この世の秩序を破壊しようとする悪しき存在。
古代エジプト人にとって
蛇とは畏れの対象、悪の化身でした。
それゆえ、ナイル川の川底奥深く、
あるいは冥界に棲むとされる大蛇アペプは、
あの世へ向かう死者の魂を喰らう
忌まわしい存在として、人々は特別恐れていました。
死者の冥福を祈り、
遺体と共に埋葬される『死者の書』には、
アペプから身を守る方法が記されていたとされます。
また、太陽の運行を司るハヤブサ頭の太陽神
ラーの最大の天敵でもあり、
東から西へと天空を旅するラーを待ち構えては
巨大な口を開き、太陽を飲み込もうと日々狙っています。
アペプが太陽を喰らうことに
成功しそうになる時、日食が発生。
しかし、飲み込むことは叶わず、
必ず吐き出してしまう運命にあります。
一説には、原初の時代に
アペプの担っていた太陽神としての役割を
後にラーに取って変わられ、
その恨みから太陽を狙うようになった
とも言われています。
ヨルムンガンド / 北欧神話
北欧神話に伝わる”世界を囲む蛇”、
ヨルムンガンド。
海底に身を沈める、巨大な大蛇。
あるとき、神と巨人の間に
邪悪な三兄弟が生まれました。
狼の怪物フェンリル、
半身腐敗した死の女神ヘル、
そして大蛇の怪物ヨルムンガンド。
彼らは運命の巫女によって
いずれ神々の敵になることが予言されていました。
予言を恐れた最高神オーディンは、
洞穴に隠された3人の子供たちを見つけると
彼らをばらばらに追放します。
ヨルムンガンドは海の中へと放り込まれ、
そのまま海底で育つうち、
いつしか人間の世界をぐるりと囲んで
自分の尻尾をくわえられるほどに巨大な体になりました。
普段は海から出ることも
悪さをすることもせず、
海底で静かに過ごすヨルムンガンドは、
世界の終末を迎えるラグナロクの時、
ついに陸へと上がります。
そして怪力の雷神トールと対戦し、
自身の吹き掛けた毒と、トールの投げた
最強の神器ミョルニルによって
両者相討ちで果てるのです。
ヨルムンガンドの詳しい物語については、
こちらの記事で詳しくご紹介していますので、
気になる方はぜひご覧ください。
デンゲイ / フィジー神話
南太平洋の島国、
フィジーの神話に伝わる創造神、デンゲイ。
アイド・ウエドと同様、
虹の蛇とも言われています。
女神の名を拝した神聖な山、
ナ・カウヴァンドラ山の洞窟に住み、
かつては空を住処にしていたこともありました。
あまりの巨体ゆえに
洞窟の中で体を動かせば地震が起こり、
一度怒ることがあれば、
島など容易く沈めてしまう。
そんなデンゲイですが、
破滅をもたらすその性質は
ごく一部の側面でしかありません。
デンゲイが目覚めれば夜が明けて、
デンゲイが眠れば夜が更ける。
体を震わせば空から恵みの雨が降り、
木々には実がなるのです。
デンゲイには、フィジーの英雄として語られる
ロコモウトゥという名の息子がいます。
ある時、デンゲイはロコモウトゥに命じて
海底の土を削り、フィジーの島々を作らせました。
そこにデンゲイは卵を産み、
卵からたくさんの人間の子供達が生まれると、
食べ物を与え、知恵を授けて
彼らが暮らしに困らないよう育ててやりました。
美しい創造神話。
しかし、物語は悲劇へと向かいます。
やがて成長した二人の息子たちに
島の管理を任せ、
その後も手取り足取り教えながら
様子を見守っていたところ、
二人は徐々に悪知恵を付け、
人にばかり働かせて
自分たちは怠けるようになりました。
叱られて反発した二人は
デンゲイの鳩を殺し、戦う姿勢を見せるのです。
激怒したデンゲイは、
二人が築いた一つの町と、
そして愛する息子二人を水に沈めてしまうのでした。
世界各地の神話に伝わる、蛇にまつわる
壮大で壮絶な物語。
描かれる彼らの姿は、邪のものも正のものも、
つまるところは神々しいものばかり。
なぜこうも恐ろしいのに、
美しくて、魅力的なのでしょう。
さて、今回もそうであったように、
神話や伝承には、圧倒的な力を
その体に表した巨大な生き物が多々登場します。
悠然と大地を闊歩する巨人もその一つ。
想像を遥かに超える、彼らの規格外のスケールには驚くばかり。
世界を制した巨神たち。
最強の巨人5選については
こちらの記事でご紹介していますので、
気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね!