天変地異!世界を揺るがす災厄の化身!伝説の多頭竜5選!

一つの胴体、うごめく複数の頭。

古より各地に伝わる、多頭竜にまつわる伝説。

内に湧く残忍性は、その禍々しい姿形に顕れる。

戦々恐々。悪の怪物、ここに集まれり。

こんにちは。えむちゃんです。

今回は、世界を揺るがす脅威!伝説の多頭竜5選をご紹介します。

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ヒュドラ / ギリシャ神話

その毒は、
神々の英雄すらも焼き尽くす。

不死の竜ヒュドラは
九つの鎌首をもたげ、
レルネーの沼地に身を潜める。

ギリシャ神話最強の怪物テュポーン
美しき蛇女エキドナの間に生まれ、

最高神ゼウスの妻、女神ヘラのもとで
育ったと伝わるヒュドラ

巨大な大蛇、あるいは竜の姿をしており、
九つある首のうち中央の一つは、
不死身の生命力を持っていました。

加えて、ヒュドラの吐く息には
人が吸えば即死するほどの
たいへんな猛毒が含まれているとされます。

かつて、英雄ヘラクレスは、
古代都市ミケーネの王
エウリュステウスの命を受け
ヒュドラの退治に赴きました。

鼻と口を布で覆い、
猛毒を吸い込まないよう準備して
そして勢いよくヒュドラに挑みかかりました。

早々に一つめの首を潰し、
この戦いも順調かと思われた、次の瞬間。

怪物の傷口から、
たちまち二つの首が再生したのです。

切りかかるたびに、首は増えていくばかり。

この窮地に、機転を効かせたのは
ヘラクレスの甥イオラオスでした。

ヒュドラの傷口を松明の炎で焼くことで
首の再生を食い止めることに成功します。

そうして最後に残った不死身の首を
ヘラクレスが切り落とし、

巨大な岩の下敷きにして
怪物ヒュドラはついに討伐されたのでした。

ヒュドラの猛毒は死してなお、
強い効力を残していました。

ヘラクレスは、知恵の女神アテナに勧められ、
ヒュドラの体液を矢の先に塗ることで
最強の毒矢を手に入れました。

しかし、これが回り回って
己の身を滅ぼすこととなるのです。

毒矢によって殺めた者の血に浸された服を
何も知らず身に纏ったヘラクレスは、
全身に猛毒を被り、あまりの苦痛に
自ら火炙りを望んで、焼け死んでいきました。

英雄の壮絶な最期は、
ヒュドラの呪いか、あるいは・・・

ムシュマッヘ / メソポタミア神話

メソポタミア神話に伝わる
七つの口を持つ怪物、ムシュマッヘ。

心優しき原初の女神は
”凶暴なる11の怪物”を生み出し
愛する我が子のもとへと差し向けた。

止まることなき進軍に、
神々は恐怖する。

その姿は、七つの頭を持つ大蛇、
あるいはライオンと蛇、鳥が合わさったもの。

古代メソポタミアより伝わるムシュマッヘは、
ギリシャ神話のヒュドラや、
その他多頭竜の起源であるとも言われています。

バビロニア神話における
創世記叙事詩『エヌマ・エリシュ』には、
こう記されています。

ムシュマッヘは、
鋭い歯と残忍な牙を持ち、
血の代わりに毒が体内を満たしている

原初の世界に存在した海の女神ティアマトは、
のちに生み出した新たな神々と対立し、
11体の怪物を創り出して、共に進軍しました。

騒がしかった神々は、
途端に縮こまってしまいます。

ティアマトの軍勢の前に
最後に立ちはだかったのは、
のちに最高神となる英雄マルドゥク

怪物たちの放つ毒気に対抗すべく
唇に土を塗り、手には香草を持って、
激しく戦闘を繰り広げました。

そうして、ついにはティアマトは討たれ、
それを見たティアマト派の軍勢も総崩れ。

11の怪物たちは、力を失うのでした。

慈悲深き“母なる女神”ティアマトの
悲劇の生涯
については
こちらの記事をぜひご覧ください。

九嬰(きゅうえい)/ 中国神話

中国の伝承に伝わる
九つの頭を持つ悪獣。

鳴り響くは、赤子の如き鳴き声。

九嬰は、混沌の時代に人々を襲う。

中国北方の川に棲みつく怪物、九嬰(きゅうえい)。

9つの頭から水と炎を吹き、
大災害を引き起こすとされます。

紀元前139年に成立した思想書
淮南子(わいなんし)・本経訓』には、
このように記されています。

伝説的な君主、
堯(ぎょう)が国を統べていた時代。

十ある太陽が一度に顔を出し
大地は灼熱に晒された。

草木は枯れ果て、飢饉に見舞われ
そして、6体の怪物どもが人々に害をなした。

猰貐(あつゆ)

鑿歯(さくし)

九嬰(きゅうえい)

大風(たいふう)

封豨(ほうき)

修蛇(しゅうだ)。

見かねた堯(ぎょう)は
弓の名手、羿(げい)を遣わし
怪物退治に向かわせた。

羿はまず
寿華(じゅか)の野に赴いて
鑿歯(さくし)を倒し、

凶水(きょうすい)の川のほとりで
九嬰(きゅうえい)を殺め、

青丘(せいきゅう)の沢で
大風(たいふう)を糸巻きの弓を用いて仕留めた。

十ある太陽のうち九つを射落として
猰貐(あつゆ)を討ち、

洞庭湖(どうていこ)にて
修蛇(しゅうだ)を斬り、

桑林(そうりん)の地で
封豨(ほうき)を生け捕った。

英雄の生還に人々は喜び、
羿を遣わした堯は
帝に迎えられたのだった。

五頭龍 / 江島縁起

鎌倉の地に伝わるは
山をも崩す一体の龍。

悪行を重ねる五頭龍は
麗しの天女に心酔する。

神奈川県、江島神社に伝わる龍の伝説。

江島神社の沿革を記す『江島縁起絵巻』には、
このように記されています。

昔々、鎌倉の湖には
五つの頭を持つ龍が棲んでいました。

五頭龍”と呼ばれるこの龍は、
激しい天変地異を幾度となく巻き起こしては
人々を苦しめつづけていました。

それがあまりに酷いので、
ある者は16人いた子供たちを
みな生贄に捧げてしまうほどでした。

鎌倉、“腰越”の地域は現在の名。

かつての地名、子が死を越えると書いて、
子死越”というのは、この伝承が由来でしょう。

さて、552年4月12日のことです。

沖合に暗雲が立ち込めたと思うと、
海の底から突然岩や砂が噴き上げ、
やがて一つの島ができました。

そしてそこに、
美しい天女が降り立ちました。

あまりの美しさに心奪われた五頭龍は、
天女に結婚を申し込みますが、

これまでの悪行を理由に断られ、
泣く泣く湖へと帰ります。

次の日、五頭龍は心を入れ替え
これからは人々を守ると誓うと、

心優しき天女は
それを信じて結婚を受け入れ、

それ以来、怪物は
本当に悪さをすることがなくなったといいます。

のちに五頭龍は湖を離れ、
江ノ島の対岸にある
龍口山という山に姿を変えました。

見守る先は江ノ島の天女。

江島神社に祀られる弁財天です。

五頭龍は、鎌倉市にある
龍口明神社に祀られています。

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ヤマタノオロチ / 日本神話

その目は赤加賀智の如くして、
身一つに八頭八尾あり。

血に濡れる怪物、ヤマタノオロチ

八百万の神々の世界、高天原を追放された
スサノオノミコトという名の男神は、
出雲国で出会った老夫婦に怪物退治を頼まれます。

8つの谷と8つの尾根にまたがるほどの
巨体を持つ、怪物ヤマタノオロチは

老夫婦の可愛い娘たちを
毎年一人ずつ食べてしまい、

8人もいた娘たちは、今やもう一人だけ。

来る季節には、
最後の娘も食べられてしまうというのです。

そこでスサノオノミコトは
娘との結婚を条件に討伐を請け負い、
怪物が来る前に、さっそく罠を仕掛けました。

さて、何も知らないヤマタノオロチが
娘をいただこうとやってきました。

ところが、なにやら今年はいつもと違う。

見慣れぬ8つの門の先に、
八塩折之酒(やしおりのさけ)が
なみなみ入った酒桶がおいてあるではありませんか。

ヤマタノオロチは喜んで、
8つの門に首を通し、
あっという間に飲み干しました。

そうして強い酒に酔い潰れ、
身動きが取れなくなったところに
スサノオノミコトはすかさず駆け寄ると、

8つの首を素早く刀で切り落としてしまったのでした。

この時、ヤマタノオロチの尾の中からは剣が現れ、
それは三種の神器となる宝剣、
のちの天叢雲剣であったと伝えられています。

古代日本の凶悪な怪物、ヤマタノオロチ。

こんなにも恐ろしい生物は、
果たして実在したのでしょうか?

実は、その存在を証明するかのような
歴史的な痕跡が、現代にも残されているのです。

出雲の地に刻まれた怪物の痕跡!
ヤマタノオロチの驚愕の正体
については、
こちらの記事でご紹介していますので、
気になる方は、ぜひチェックしてみてくださいね!

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