アステカ神話の創世記!五つの太陽と世界滅亡の予言!
アステカの神は身を捧げ、太陽を造創った。
太陽はなお贄を欲する。
天に血を捧げよ。
我々の心臓は、太陽神の活力となる。
北米大陸メキシコ高原と、ユカタン半島一帯に存在した
先住民たちの文明(メソアメリカ文明)。
やがて侵略が押し寄せる
その直前の最後の時代に、
アステカ文明は現れました。
およそ95年の間栄えた彼らは
壮大かつ壮絶な、5回に渡る
世界の創世と破滅の物語を伝え残しました。
そこには、いつしか私たちが迎えることとなる
人類の終末が予言されているのです。
こんにちは。えむちゃんです。
今回は、アステカ神話の終末の予言!繰り返される創世と滅亡の伝承をご紹介します。
本動画には、あらゆるアステカの神々が登場します。
彼らの詳細については
こちらの記事でご紹介していますので
併せて見ていただくと内容理解が深まります。
気になる方は、ぜひ先にご覧ください。
アステカの創世神話
原初の世界
そこはまだ何もない、原初の世界。
創造神オメテオトルは
宇宙の虚空から自らを創造しました。
オメテオトルは、あるいは
老夫婦の神トナカテクトリとトナカシワトルの二神を指すとも言われ、
生みおとした4人の子供達に世界の創造を任せ、
自らは時空を超えた天界の最上部に身を引きました。
第一の太陽の創造と破壊(支配者:テスカトリポカ)
天地創造よりも前の原初の時代。
そこはまだ、海が広がるだけの世界でした。
創造神・オメテオトルの子らのうち、
破壊と戦争の神・テスカトリポカと
文化と農耕の神・ケツァルコアトルの二人は、
海に棲みつく凶暴な怪物・シパクトリを退治すべく
一時協力し合うことにしました。
テスカトリポカの右足を餌に、海中に潜む怪物を誘き寄せ、
見事、退治を果たした二人は
その巨大な亡骸から、大地を創造。
片足という大きな代償を払ったテスカトリポカは
その武勲に相応しい頂点の位、
「太陽」の座に君臨しました。
最初の時代、「第一の太陽」の誕生です。
アステカにおいて、太陽とは世界を治める支配者であり、
彼らの支配した時代もまた、太陽と言い表されます。
太陽・テスカトリポカを中心に、
その後神々は力を合わせて
新たな神や巨人たちを創造しました。
穏やかだった第一の太陽。
しかし、世界は突然終末を迎えます。
怪物を共に倒した兄弟・ケツァルコアトルが
頂点に立ったテスカトリポカを良く思わず、
大きな棒で殴りかかって
水の中に落としてしまうのです。
太陽を失った世界は、暗闇に覆われました。
支配者の座を剥奪されたテスカトリポカは
ジャガーになって水から飛び出し、
怒りのままに大地の巨人を皆殺しにして
世界を滅ぼしてしまうのでした。
第二の太陽の破壊(支配者:エヘカトル・ケツァルコアトル)
続く新たな時代、「第二の太陽」では
ケツァルコアトルが太陽の座に君臨し、
世界に人間を生み出しました。
この時代の支配者は
風の神エヘカトルであるともされますが、
これはケツァルコアトルのもう一つの姿だと言われています。
さて、兄弟を陥れてその座を得たケツァルコアトルは、
当然、テスカトリポカに恨まれていました。
平穏は長くは続きません。
今度はジャガーの姿となったテスカトリポカによって
支配者の座を引きずり降ろされてしまいます。
世界に住んでいた人間たちは
テスカトリポカによる強風に吹き飛ばされ、
かろうじて生き残った僅かな人間たちは
その姿を猿に変えられてしまいました。
こうして、第二の世界は終焉を迎えるのです。
第三の太陽の破壊(支配者:トラロック)
続く「第三の太陽」には、
干魃と雨の神・トラロックが選ばれました。
トラロックには、愛する妻がいました。
花と愛、喜びを司る
大地の女神・ショチケツァル(Xochiquetzal)。
ところが、かつて第一の太陽を支配した
テスカトリポカに騙されて、
トラロックは妻を攫われてしまうのです。
悲しみと怒りに打ちひしがれたトラロックは、
もはや太陽としての役割を果たすことが
できなくなってしまいました。
世界では大旱魃が発生し、
人間たちの必死の雨乞いも甲斐なく、
トラロックは火の雨を降らせて
自ら世界を破壊してしまうのです。
生き残った僅かな人間たちは
鳥の姿になりました。
アステカ神話は口頭での言い伝えが主で
文献が少なく、解釈によっても物語が異なります。
別の伝承では、妻ショチケツァルが
攫われたことには言及されず、
天から火の雨を降らせたのは
第二の太陽・ケツァルコアトルであるとされ、
それによりトラロックは陥落したとも言われます。
第四の太陽の破壊(支配者:チャルチウトリクエ)
続く「第四の太陽」を治めたのは、
水の女神・チャルチウトリクエ。
トラロックの姉、あるいは新しい妻だとされる彼女は、
心優しく、人間に対しても愛情深い女神でした。
ところがある時、第一の太陽・テスカトリポカが
悪意をもって近づくのです。
「お前の人間たちへの態度は
見栄えのためだけだろう。
その優しさは見せかけに過ぎない。」
心無い言葉に、チャルチウトリクエは傷ついて
何年も泣き続けました。
その涙は大雨となって地上に降り注ぎ、
やがて起きた大洪水に人間たちは流されて
魚に姿を変えられたといいます。
また、別の伝承では、
夫・トラロックから暴力を受けた報復として
大洪水を引き起こし、自ら世界を滅ぼしたともされます。
この時、チャルチウトリクエは
天と地上とを結ぶ橋をかけ、
恩恵を受けた者には橋を渡ること許し、
それ以外はみな魚に姿を変えてしまったのでした。
現在の世界創造と滅亡の予言
四度に渡り繰り返された、世界の創造と破滅。
その末に生まれた「第五の太陽」こそ、
私たちが生きる現代の世界です。
第五の太陽の創生
第四の太陽が崩壊したのち、
世界は新たな太陽を迎えることがないまま
暗闇に包まれていました。
第二の太陽・ケツァルコアトルは
自らが創った人間たちが滅んだことを嘆き悲しみ、
地下深くまで降りて行って
死を司る神・ミクトランテクトリに罠を仕掛け、
第四の太陽で滅んだ人間たちの骨を持ち帰りました。
そうして、その骨に自分の血を混ぜ合わせ、
人間たちに再び命を与えました。
真っ暗な大地に弱々しく生きる人間たちを見て、
不憫に思った神々は
古代都市・テオティワカンに集まり、
新たな太陽を創造するための話し合いを始めます。
「太陽を新たに創造するには、
我々のうち誰かが炎の中に飛び込まなければならない」
これに最初に名乗りを上げたのは、
裕福で高慢な神・テクシステカトルでした。
どうせ簡単な仕事だろうと、
甘い考えのテクシステカトルに対し
他の神々は一人で成し遂げられまいと、
もう一人候補者を出すことにしました。
皆が躊躇する中、指名されたのは
謙虚でみすぼらしい格好をした皮膚病の神・
ナナワツィン(Nanahuatzin)。
二人の神は四日にわたって儀式を行い、
その後、ついに身を捧げる時が来ました。
炎の前へ一歩踏み出す
高慢な神・テクシステカトル。
ところが、燃え盛る炎を前にすると
急に怖気付いてしまい、
四度試して、それでも飛び込めませんでした。
対して、謙虚な神・ナナワツィンは
ためらうことなく炎の中へと入ります。
それを見たテクシステカトルは
負けじと勇気を振り絞り、
つづいて炎に飛び込みました。
しばらくすると、東の空に
太陽に姿を変えた二人の姿が現れました。
儀式は成功したのです。
ただ、太陽が二つもあるとあまりに眩しすぎたので、
神々はテクシステカトルにウサギをぶつけて
光を減らし、それを月としました。
ナナワツィンが姿を変えた「第五の太陽」は
トナティウという名の太陽神。
彼こそが現代の世界の支配者、私たちの太陽です。
しかし、生まれたてのトナティウは全く動こうとせず、
生贄の血を欲しました。
多くの神々が生贄となり、
そうしてやっと活力を得たトナティウは
全ての邪悪を払う太陽として
暗闇からこの世を守ってくれるのです。
太陽を崇拝したアステカの民。
血は太陽の活力となり、
心臓を捧げればこの世は幾分保たれる。
そしていつか活力を失ったとき、太陽もまた消滅する。
こうした「終末信仰」が
生贄の文化につながるのです。
神々が血を捧げたことで、我々人間は生かされている。
ならば我々も捧げよう、と。
第五の太陽の滅亡
トナティウのもと、
私たちが生きている現代、「第五の太陽」。
しかし、アステカの伝承は
ここで終わりではありません。
私たちの命運を描く、続きの予言があるのです。
第五の太陽は、地震によって滅亡する。
52年の暦周期の終わり、
心臓を捧げた人間の空になった胸の中(胸腔)に
火を起こすことができなかった時、
人間たちは空の怪物・ツィツィミメに喰われて滅ぶだろう。
ツィツィミメとは、星を司る怪物の神々のこと。
日食の空に現れる太陽周辺の星々を
アステカの民は、太陽を害する邪悪なものと捉えました。
普段は豊穣の女神という善良な姿でいる彼女らは、
ただし、宇宙が不安定になる時期に限り
脅威の存在となるのです。
アステカ文明の滅亡から、およそ500年。
彼らの語り継いだ、世界滅亡のシナリオ。
これを単なる神話と侮ることはできません。
なぜなら現在、地球に繁栄する我々人類は
実はほんの些細なきっかけで
容易く滅んでしまうほど
絶妙な均衡の中に生きているからです。
人類滅亡のシナリオ!
明日にも地球を破壊し尽くす身近な5つの災いについては
こちらの記事でご紹介していますので
ぜひご覧ください。